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2010.12.25

書評<予防接種は「効く」のか?>

ワクチンによる予防接種は、人類を疫病から守るもっとも有効な手段の1つである。しかし近年、その副作用などが不必要に喧伝されることにより、予防接種の多くが接種義務から外されている。その結果が昨今、成人近くなっての麻疹の集団発生など、予防接種の義務化から外れた感染症の復活である。本書はワクチンの歴史とワクチンの為しえたことを振り返り、また副作用とワクチン禍を正面から見つめることにより、予防接種の必要性を改めて問う。

予防接種は多くの死に至る疾病を絶滅寸前まで追い込んだ。しかし、そのことが逆に、その疾病に罹患することの現実感を喪失させていると思う。なので天然痘とちまたで噂される副作用を天秤にかけた場合、副作用を重要視してしまう。きちんと調べれば自閉症の発症など多くの重大な副作用は否定されているのにも関わらず、である。本書は「日本の予防接種制度はアメリカに比べて遅れている」とするが、TVドキュメンタリーなど見ると、アメリカでもこの傾向が強い。社会の公衆衛生より個人の感情が優先されてしまうのだ。
本書はワクチンに関する事実と議論を分かりやすく説明し、その重要性を説いている。前述のような状況を打開するためには、本書にあるような情報を広く伝えていくと同時に、とにかく責任回避だけを優先する厚労省の改革が必要であると感じさせる。予防接種に不安がある親御さんには特に読んで欲しい。


初版2010/12 光文社/光文社新書

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Comments

明日、購入して読んでみようと思います。
この国はワクチンへのコンセンサス作りに失敗していると思いますな。

にしてもあれだね、読書の幅が広いのにはいつも感心してしまいますよ。
風邪に気をつけてね。

>高○さん
高○さんはいわば本職なので、知ってる話も多いかも。
厚労省がコンセンサスを作るのに失敗してるのは確かなのですが、「うちの子に限って」という感情はどうにも否定し難いし、同時にイライラします。あなたの家と公衆衛生は地続きなんだと、どうして分からないのかな、と。まあ、嫁なし子なしオタクの3重苦の男に言われたくはないでしょうが。
そちらも、風邪には気をつけて。来年またお会いしましょう。

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