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2010.12.27

書評<これからの「日本サッカー」の話をしよう>

日本サッカー協会はワールドカップへ出場、そして勝利を重ねるために、様々な強化策を実施してきた。その多くは実際に身を結びつつあるが、ヨーロッパ標準と比較するとまだまだ不十分なところも多い。Jリーグの清水エスパルスの監督として来日し、すでに10年以上在住して主にユース年代の強化にたずさわってきたズドラヴゴ・ゼブノビッチ氏に、日本の育成システムには何が足りないかを問う。

ヨーロッパから見て日本サッカー界のよく分からないところの1つが、学校の部活とJリーグユースなどクラブチームの並列のようである。ゼムノビッチ氏の指摘の中心もそこにあり、短期間でチームの結成・解体させ、トーナメント中心となってしまう部活というシステムの改革を求めている。だが、明治時代に教育の一環としてスポーツが輸入された経緯から辿らなければならないこのシステムを、修正していくのは並大抵のことではないし、選択肢が多いという面では、一定の貢献もしている。自分がサポートするサンフレッチェ広島などは、高校サッカー選手権の常連高のメンバーの半分は同チームユース出身者であり、地域の連携がうまくいっているところもある。だが、ゲーム経験の少なさなどは氏の指摘するとおりであり、サッカー関係者には育成体制の変革の参考書の1つにしてもらいたい。


初版2010/11 カンゼン/ソフトカバー

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