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書評<オスは生きてるムダなのか>

地球の生物の基本は「メス」である。子孫を残すための卵はメスが産むのだから、至極当然である。地球上の多様な生物のオスとメスの関係、あるいは生殖の方法をみていくと、オスの遺伝子は生き残りのための多様性を確保するための保険に過ぎない。本書は生物学者である著者が単細胞生物から哺乳類まで”進化の木”に属する多様な生物の性別と生殖のあり方を紹介し、地球の生物にとっての性別とは何かを検証していく。

表題の「オスは生きてるムダなのか」については、本書の中盤あたりですでに結論が出ている。先に紹介したように、極端に言うと「オスはメスに寄生している」といって過言ではないのだ。しかし著者が伝えたいのは、生物の性別の決定の”いい加減さ”ではないか?昆虫はともかく、脊椎動物の魚でさえ状況によって器用に性別を選択するのだ。人間にしても、遺伝子の改編具合によって、脳は女性、体は男性あるいは体の左半分は女性、右半分は男性ということが確率は低いにしても起こりえるのだ。「性同一性障害」は精神的な疾患だと思われがちだが、生物学的にみると、胚からの発生の段階で起こる先天性疾患なのである。こうした生物の”いい加減さ”をどう感じ、どう受け入れていくか?著者が問うていうのはそこであろう。

初版2010/09 角川学芸出版/ソフトカバー

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