書評<コップクラフト 3>
太平洋上に異世界との<ミラージュゲート>が開き、人類にとってのファンタジー世界の住民との奇妙な共存が始まったサンテレサ島。その治安を守るサンテレサ市警の刑事、ケイ・マトバはひょんなことから異世界の女剣士であるティラナとコンビを組むこととなる。
その奇妙なコンビが挑む今回の捜査は名門ハイスクールの女生徒の殺人事件。容姿の面からティラナがそのハイスクールに潜入する。サンテレサ市長選や名門ハイスクール独特の事情も絡み、事件は思わぬ方向に進んでいく。
80年代ハリウッドのバディ・ムービーにファンタジー世界の剣士をプラスしたシリーズ第3弾で、ガガガ文庫としては完全新作となる。著者の確かなウデのおかげで、自分たち昔を懐かしむ30代にとってはハリウッド映画を見ている気分になるし、メインターゲットの若年層には新鮮な語り口の物語になっているであろう。文庫の読者層を考慮してか舞台が高校になっているが、次作ではまた舞台を街に戻して、大活躍を見せてほしい。そう思わせる良質なライトノベルである。
初版2011/01 小学館/ガガガ文庫
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