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書評<錯覚の科学>

人間は視覚を中心とした五感を駆使して周辺状況を認識している。だが多くの場合で、その視野はコンディション次第で狭くなったり広くなったりするし、多くの場合、見たいものしか見ていない。しかも問題なのは、人間がそうした状況においても「自分はしっかりと状況を認識している」と自覚していることである。著者は心理学の面からこの”錯覚”を明らかにしていく。注意・記憶・自信・知識・原因・可能性の6つに錯覚を分類し、それが実験的な科学としてどのように証明され、人間の行動や認識にどのような影響をもたらすのかを明かしていく。

人間の大脳は物事の認識能力を高く、個々の状況の相関関係の認識を得意とし、それが他のほ乳類との違いを生み出している。だが、ホモ・サピエンスとなって200万年余りの時間では、それを完璧なものとするにはまだ時間が足りないようようで、多くの錯覚を起こす。本書はそうした人間の状況認識の不完全さを明かし、誤解に基づく自信がいかに多くのトラブルをもたらすかを説明する。本書に書いてあることを読めば、ケータイのながら運転がいかに危険かが理解できる。
さらに本書は近年のお手軽で、商業主義的な脳科学へのアンチテーゼとなっている。ちょっと前ならモーツァルトを聞くと頭が良くなるとか、近年ならゲームの脳トレとか、”頭が良くなる方法”が”科学”として取り上げられ、ちょっとしたブームになっている。だが、多くの場合、それは”錯覚”である。脳のどの部分がどの感覚をつかさどるのか、脳の活動はどのようなものかがMRIその他で明かされるようになってはきているが、それは科学の根拠である実験で実証されているものではない。お手軽脳科学の多くが、まだ未解明の分野なのである。よくテレビで見る茂木某あたりが喋っていることがいかに科学的ではないか、本書は訴えている。心理学においても、科学とは実験なのである。

初版2011/03 文藝春秋/ハードカバー

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静岡ホビーフェア最終日のRX-78ガンダム

未曾有の被害をもたらした東日本大震災が発生した日の静岡市葵区の揺れは震度4。さらに1週間後の静岡県富士宮市を中心にした地震のときも震度4。2度の地震にもビクともせず、1/1RX-78ガンダムは大地に立ち続けました。今日は最終日と言う事で、最後の写真を撮影に行ってみました。
半年に及ぶ開催ということで、そんなに人もいないだろうとたかをくくっていましたが、それなりの人垣。さらにステージではチャリティ募金のためのイベントを実施しており、最終日のしんみりした様子はみられず。
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最終日ということで、ホビーミュージアムの室内展示も見納め。期間後半に運び込まれた脱出したコアファイターを再現したものをうp。
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ともあれ、多くの人々を楽しませてきた展示も、本日で終了。最終日が快晴で何よりでした。入場者が150万人を突破ということで、多くの経済効果をもたらしたことでしょう。単発もイベントにせず、何かの形で継続してほしいもの。バンダイのプロジェクトに注目していきましょう。

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書評<パチンコがアニメだらけになった理由(わけ) >

パチンコ台とアニメがタイアップするようになってずいぶん経つ。「北斗の拳」や「ヤマト」などの古いアニメ、あるいはエヴァンゲリオンまでならぎりぎり、そのファンを新規顧客として呼び込むとか、一般的なマーケティング論で語ることができる。だが、本放映からまだ数年しか経っていないアニメ、あるいは、さほどヒットしていないマイナー作品までもパチンコ店とタイアップしている。アクエリオンの「あなたと合体したい!」というCMが真昼間から流れて、眉をひそめたのは記憶に新しい。このような不自然なタイアップが見られるのはなぜか?著者は閉鎖的なパチンコ業界に多くの取材拒否にあいながら、その謎にせまっていく。

アニメファンが常々疑問に抱いていた「サムライチャンプルーがパチンコに?誰得?」といった思いが氷解する、見事なルポルタージュである。著者はまず「CRエヴァンゲリオン」のヒットの要因をパチンコ情報誌の専門家に聞く。そうすると意外なことに、ヒットはエヴァにあったのではなく、パチンコ台のゲーム性そのものが面白かったという、考えてみれば当たり前の事実に突き当たる。それならば、なおさらマイナーアニメとのタイアップの必要性が疑われる。公式にはパチンコ業界もアニメ業界も取材拒否だったが、著者は人間関係を辿って取材を進めていく。そこから浮かび上がってきたのは、関係団体に多数の警察関係の天下りが関わっているパチンコ業界の特殊性と、ビジネスモデルが破綻しつつあるアニメ業界の実態である。取材先のいくつかが匿名なのは残念だが、今のアニメの製作資金がどこから出てきたか、知りえるだけでも興味深い。

初版2011/01 洋泉社/ソフトカバー

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SEA HAWK FGA.6 Completed

先週の週末、Twitterにて進行状況をリアルタイムでアップしたホビーボス1/72ホーカー・シーホーク、トップコートして完成しました。
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ホーカー・シーホークはジェット戦闘機黎明期、そしてイギリス空軍空母が現役にあった1950年代の艦上攻撃機。英仏共同のスエズ作戦にて実戦参加し、破損した燃料タンク積んでる写真なんかが有名ですね。
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ホビーボスのキットは発売されたてのニューキット。当然スジ彫りですが、雰囲気は限りなく簡易インジェクション。ダルいアンテナなんかは、限りなくスペシャルホビーぽいですね。組み立て自体はさほど問題なく、16時間で完成させてます。ただしヒケやキズはけっこうあるので、完璧を求めるとそうはいかないでしょう。このへんも簡易インジェクションぽいですね。それと、オモリは多めに入れないと、しりもちを確実に着きます。本作はその典型です。
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塗装はHMSアルビオンに搭乗した806sqnを再現。いわゆるペンギン塗装ですね。上面がクレオスC331ダークシーグレー、下面がC35明灰白色。ダークシーグレーは単調にならないようにグレーを垂らした2色を吹いています。下面の明灰白色の方はも少しホワイトに近づけた方がペンギンぽいかも。
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ジェットの力強さを感じさせない、シンプルで繊細なラインが初期のジェット機らしくていいのです、シーホーク。お手軽な手のひらサイズのキットでおススメ、と言いたいところですが、もう少しだけ安価にならないかなあ。1/144サイズの箱で\2400はやっぱりツライです。

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書評<ダイナミック・フィギュア>

太陽系外から地球圏に侵入してきた渡来体と呼ばれる異星人は、STPFと呼ばれるリング軌道上に建設を始めた。STPFには地球の生物に“究極的忌避感”と呼ばれる肉体的・精神的苦痛を与える作用があった。だが、STPFが完成する前に別の渡来体が飛来。両者の戦闘により、STPFの一部が日本の四国に落下。そこから出現したのは、キッカイと呼ばれる謎の生物であった。”概念”を学びながら進化し、四国から北上しようとするキッカイに対し、日本政府が設立した研究機関は、ダイナミック・フィギュアと呼ばれる二足歩行兵器を開発し、対抗する。
世界各国の軍事バランスを崩しかねない、究極の兵器であるダイナミック・フィギュアを巡る政府の駆け引き。ダイナミック・フィギュアを操るパイロットたちの成長と挫折。そして異星人たちの真の目的は何か?激しい戦いと様々なドラマが交錯し、物語はクライマックスに向かう。

謎の侵略者。登場人物や各種アイテムの意味ありげなネーミング。精神作用を侵略者に持たせることで、人間の負の感情をを剥き出しにする演出。本作を<エヴァンゲリオン>のパクリ、オマージュ、あるいはリスペクトと呼ぶのは簡単だと思う。だが、上下二段組800ページにおよび大長編を読み切ると、むしろ感じるのは日本のロボットアニメ文化の歴史と芳醇さである。異星人とのファースト・コンタクト。軍や組織を運用する困難さ。主人公とヒロインの個人的関係が世界の行方を握る、いわゆる<セカイ系>と呼ばれる物語のつくり。様々な要素を飲み込んできたリアルロボット・フィクションの面白さが溢れんばかりに詰まっている。<ザンボット3>から<エヴァ>まで、見続けた人だけが分かるものがきっとある、そんなSFである。

初版2011/02 早川書房/ハヤカワJコレクション

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