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書評<ダイナミック・フィギュア>

太陽系外から地球圏に侵入してきた渡来体と呼ばれる異星人は、STPFと呼ばれるリング軌道上に建設を始めた。STPFには地球の生物に“究極的忌避感”と呼ばれる肉体的・精神的苦痛を与える作用があった。だが、STPFが完成する前に別の渡来体が飛来。両者の戦闘により、STPFの一部が日本の四国に落下。そこから出現したのは、キッカイと呼ばれる謎の生物であった。”概念”を学びながら進化し、四国から北上しようとするキッカイに対し、日本政府が設立した研究機関は、ダイナミック・フィギュアと呼ばれる二足歩行兵器を開発し、対抗する。
世界各国の軍事バランスを崩しかねない、究極の兵器であるダイナミック・フィギュアを巡る政府の駆け引き。ダイナミック・フィギュアを操るパイロットたちの成長と挫折。そして異星人たちの真の目的は何か?激しい戦いと様々なドラマが交錯し、物語はクライマックスに向かう。

謎の侵略者。登場人物や各種アイテムの意味ありげなネーミング。精神作用を侵略者に持たせることで、人間の負の感情をを剥き出しにする演出。本作を<エヴァンゲリオン>のパクリ、オマージュ、あるいはリスペクトと呼ぶのは簡単だと思う。だが、上下二段組800ページにおよび大長編を読み切ると、むしろ感じるのは日本のロボットアニメ文化の歴史と芳醇さである。異星人とのファースト・コンタクト。軍や組織を運用する困難さ。主人公とヒロインの個人的関係が世界の行方を握る、いわゆる<セカイ系>と呼ばれる物語のつくり。様々な要素を飲み込んできたリアルロボット・フィクションの面白さが溢れんばかりに詰まっている。<ザンボット3>から<エヴァ>まで、見続けた人だけが分かるものがきっとある、そんなSFである。

初版2011/02 早川書房/ハヤカワJコレクション

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