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書評<世界の名機 ダッソー・ミラージュ2000>

ミリオタさんたちにはあまり評判の芳しくないイカロス出版ですが、これはイイと思ったので紹介。
ミラージュはご存知のとおり、フランス製戦闘機の代名詞であり、ミラージュ2000はその名を受け継ぐ最後の戦闘機になるでしょう。デルタ翼とスマートな胴体を持つその機体は美しく、FCSはじめカタログ・スペックも80年代以後に相応のものですが、非力なエンジンとFCSに足をひっぱられ、その実際の評価はあまり高くないのが現状です。本書はカタログ・スペックの羅列だけではなく、こうした運用実績を踏まえた評価にも触れられており、資料価値も高いと思います。
自分が一番知りたかった、稼働率の低い台湾空軍機の運用の実際についても、台湾空軍のパイロットのインタビューが掲載されており、一概にスネクマM53エンジンの非力さと信頼性の低さが責められるものではないことが分かります。

本書でも触れられていますが、機体のパーツ一つから搭載兵器まで、すべてをフランス製で囲ってしまうその商売方法の限界をミラージュ2000に見ることができます。軽量な機体ゆえ、初期導入コストは割安なものの、生産機数の少なさゆえ補修パーツのコストが下がらず、アフターサービスが高くつくこと。カタログ・スペックは立派だが、実戦経験の少なさゆえ、かえって使いづらい設計になってしまった空対空ミサイル。国産にこだわることをどこかで転換していれば、と思わずにはいられない。兵器の輸出には国家の外交戦略も絡むので簡単なことではないとは思いますが。

ライトなマニア向けのカタログ本ですが、いろいろ考えずにはいられない、珍しい本です。

初版2011/03 イカロス出版/ソフトカバー

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