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2011.04.17

書評<移行化石の発見>


ダーウィンの進化論が発表された当初、主な科学的な反論は「生物が斬新的に進化するのなら、なぜ移行途中の化石は存在しないのか」というものだった。例えば魚類から陸生生物が進化したというのなら、移行期の生物が現生するか、化石が見つかっていてもいいはずだ。残念ながらダーウィンの存命中には有力な反証となる化石は発見されなかったが、今日までに多くの古生物学者の努力によって数々の移行化石が見つかり、いわゆる”ミッシング・リンク”、進化の連鎖の過程が繋がりつつある。本書は恐竜や鳥類、クジラやウマ、あるいはホモ・サピエンスなど研究が進んでいる生物の移行化石の発見の歴史を追い、進化の道筋を辿るものである。

先に「ミッシング・リンク」という言葉を使ったが、本書は"人類につながる最古の化石発見”とセンセーショナルに騒がれ、昨年に邦訳も出版された「ザ・リンク」に対する批判から始まる。移行化石はなにも「ザ・リンク」だけが主役ではなく、、ダーウィン以後の多くの古生物学者の長年に渡る発掘により、多くの系統が明らかになっているのである。本書はいわば、そうした移行化石発見と研究の歴史書である。もちろん、単純な化石発掘の物語ではない。ある学者の発見により定方向的な進化が見出されたと思えば、他の学者の発見により、進化は定方向的に進むのではなく、むしろ混沌とした無秩序な変化であることが証明される。移行化石の発見により、進化論に対する解釈そのものが変化していくことを本書は指し示している。
著者はグールドの唱えた「断続平衡説(進化はある一定の期間の停滞と、短く爆発的な生物の発生期間を繰り返す)」を進化論解釈の基礎にしており、断続平衡説に同意する者なら(私も含めて)、最後の結論も納得できるものだろう。多分野に渡る化石発見を俯瞰的に捉えることができる良書である。

初版2011/03 文藝春秋/ハードカバー

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