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書評<涼宮ハルヒの驚愕>

シリーズ4年ぶりとなる作品の初回限定版。前作「涼宮ハルヒの分裂」で2つに分岐したストーリーがどのような結末を迎えるのか?以下ネタばれありで感想を。


前作から4年、こちらの熱が醒めてしまっているせいもありますが、とりあえずうまく収拾をつけた、という感じでしょうか。2つの並行世界がなんとなく繋がっている、という演出はパラレルワールドものとしてうまさを感じますし、結末は未来人がドラマチックに演じる。新キャラ登場や意外な人物の告白などで、これで完結か?それとも続編があるか?と迷わせる結末は、ある意味ライトノベルらしいといえるのではないでしょうか。
思えば、この作品は1作目で答えは出ているといるといえば出てるですよね。世界を改変しようとするあれやこれやに対し、ハルヒが「私はここにいる」と言えば、キョンもまた「オレもここにいる」と。その選択のピークは「涼宮ハルヒの消失」だと思うので(最近、劇場版を見たせいもありますが)、本作の結末は意外な部分もあるものの、まずは妥当なものに落ち着かざるをえない。そういう意味では、著者も書きづらかったのではないかと想像はできます。先に書きましたが、読者の熱があるうちに書くべき作品だったと、改めて思います。

初版2011/05 角川書店/スニーカー文庫

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書評<天冥の標IV: 機械じかけの子息たち>


アステロイド・ベルト宙域に、様々な国家・団体が乱立する時代。体内に忌まわしきウイルスを宿す<プラクティス>一派のとある少年は、重大な事故から目覚めると、そこは様々な性愛を提供する小惑星施設だった。そこで出会ったのは、ただ一心に、人間たちの求めるセックスを実現しようとするラヴァーズと呼ばれるアンドロイドたちと、それを取り締まる集団だった。彼はそこで波乱に満ちた日々を過ごすこととなる。

著者の連作「天冥の標」シリーズ第4作。ハッキリ言うと、至高のセックスを求める少年とアンドロイドの繰り広げるエロ小説である。もちろん、SFのシリーズ作品なので、前作とこれからの作品への伏線があったり、それなりのどんでん返しもあったりするのだが、終始エロが止むことはない。いつもなら作品に付属する解説がないのも、解説の必要がないからだろう。連作のなかでどう位置づけられるのか、シリーズが終了したら著者に語って欲しいものである。

初版2011/05 早川書房/ハヤカワ文庫JA

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F-16I Day4th

今年は早めに台風の襲来。風雨の強い中、IDFのF-16は細かい部品の切り出しと塗装。
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イスラエル空軍といえば、やはりIAI開発のゴツい対地誘導弾が魅力的、ということでスカンクモデルのウェポンセットと、ハセガワのウェポンセットからパーツをチョイス。キネティックのF-16I発売時にはその価格の高さが気になったものですが、こういうことしてると返って高くなるんですよね。これがハセガワマジック。
それにしても、パイロンが多いなしかし。我々現用機モデラーはどうしても実際にはあまり見かけないフル搭載をしたがるもんですが、今回のNATOによるリビア攻撃の写真を見ると、重そうなフル装備のF-16の写真もあって、実際にこういう装備をするんだ、とヘンに感心してしまいました。それだけ、初期のリビア攻撃は脅威度が高かったということなんでしょう。我々は今は国内のことで手一杯ですが、世界は動きを止めてないな、と思う今日この頃。

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書評<マルドゥック・フラグメンツ>

著者のマルドゥック・シリーズの短編集。ボイルドとウフコックが袂を分かつ前の「ヴェロシティ」絡みの話が2編、「スクランブル」の導入部となる話が1編。「スクランブル」の最後の戦闘をボイルド視点で書いたものが1編、そしておそらく完結編となる「アノニマス」のプロローグが収められている。それに作者の沖方氏のインタビューが加えられている。「天地明察」のヒットにより、すっかり一般的な文芸分野に向かっていくと思っていたので、マルドゥックシリーズの続編が書かれるというだけでも驚きではある。プロローグを読む限りではいわゆる”刑事モノ”の匂いがする作品で、個人的には非常に歓迎である。 この勢いで、ぜひともシュピーゲル・シリーズも完結して欲しいものである。

初版2011/05 早川書房/ハヤカワ文庫JA

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書評<生命40億年全史>


地球が誕生して46億年、生命が地球に誕生して40億年。はじめの30億年は原始的な単細胞だった生命が、何度かの爆発的な進化と絶滅を繰り返し、現在の生態系に至っている。そこにはどんなドラマがあったのか?本書は生命の長い歴史を綴っていく。

本書は”生命の全史”を謳っているが、現在有力とされている説を単純に並べていく歴史書ではない。自然科学あるいは古生物学という学問が成立した19世紀以後(章によってはそれ以前)、どのような化石がその歴史の証拠となり、どのような論争の結果、現在の定説に至るのかを主要なトピックを取り上げて解説されていく。いわば”生命の歴史がいかに形づくられたかを解説する歴史書”ともいえるだろう。なので、教科書的な退屈さはまったくなく、そこには科学者たちの様々なエピソードや生命のドラマチックな変遷に満ちている。分厚い本だが、何度でも読み直したくなる1冊である。

初版2003/03 草思社/ハードカバー

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F-16I"Sufa" Day1st

F-16の連作、こちらはハセガワ1/72F-16I"Sufa"。
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昨日のF-16Dはレジンパーツ付の限定キットですが、こちらは各種増加パーツを追加した定番モデルとして昨年発売されたもの。基本的にはドーサルフィンを延長したF-16Dにコンフォマールタンクを追加した機体ですが、内蔵のECM機器などにより、各種アンテナが追加されています。F-16の主任設計者、故ハリー・J・ヒレーカーが見たら怒り出しそうな発展型ですが、妙な迫力があることだけは確か。

ネット上で使い古した金型と新しい金型は相性が悪く、コンフォマールタンクの合いが悪いみたいな情報も見かけたのですが、まったく問題なし。ポリパテを盛ってるのは元キットの段階ですき間が開くところです。
それよりも、問題は追加のアンテナ類ですな。今からマスキングするのが面倒そう。


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F-16D"BRAKEET" Day1st

現実は世界全体も仕事も厳しいままですが、せめて週末は普段どおり行きましょう。
お次はコレ。
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ハセガワの1/72F-16D"BRAKEET"とF-16I"Sufa"、IDFの魔改造ヴァイパーを並べてみたいと思います。
8月のHME2011(北海道モデラーズエキシビジョン)へ向けて、所属クラブのテーマが”砂漠”となりますので、それに向けての製作でもあります。
本来、軽量戦闘機であったF-16の進化を見比べたいということで同時製作をもくろんだわけですが、事前に考えたよりも違いが多いんですな、これが。コンフォマールタンクとアンテナ類はともかく、そもそもF-16DはF110エンジン搭載でコモン・インレットダクト、F-16IはF100エンジン搭載でノーマルダクトなんですね。パーツを取り違えそうなので、適宜作り分けていきましょう。
それではまずはF-16D。
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このキットはF-16Dのキットに大型のドーサルフィンのレジンパーツを添付して2001年に発売されたキット。ヤフオクあたりでいい値段がついてたりするのですが、所属クラブのよしみで譲ってもらったもの。
では、機体製作にかかりましょう。胴体そのものにはとくに問題なし。垂直尾翼はキットの基部をカットしてレジンパーツに接着する形ですが、イモ付けでは不安なので0.8mmの真鍮線を入れて強化しています。レジン自体の合いは多少すき間がありますが、許容範囲内。サクサクいける、かな?

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静岡ホビーショー2011に行ってきた<モデラーズクラブ合同作品展編その2>

静岡ホビーショー2011のモデラーズクラブ合同作品展のレポートその2が他クラブで気になった作品をチョイス。あくまで私見です。
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まずはKWAT師匠の多くのファントム作品の中から、アメリカ海軍航空75周年記念塗装をチョイス。明るめのメタリックブルーをチョイスされており、センスのよさが光ります。それにしても、Twitter方面では観客のオレらがドキドキするギリギリの徹夜モデリング。お疲れ様でした。
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フィン空クラブさんの1/48ドラケン。暗いシルバーが金属感を強調してます。ドラケンってフィンランドでも生産されたんですって。知らなかった。
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その巨大さと電飾で注目だった吃宙線の会さんから、白色彗星とアンドロメダ。もはや、素材からしてナゾ。脱帽としかいいようがありません。Blogにコメントもらってたので、製作者さんに挨拶しようと思ったのですが、いつも誰かと談笑されており、改めて注目度の高さを感じました。
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いつも写真を掲載させていただいているH.U.Dさんからは、アカデミーの1/35UH-60ブラックホーク”ブラックホーク・ダウン再現版”をチョイス。深い色合いのフラットブラックが強襲ヘリの禍々しさを感じさせます。いつもながらのパワフルな展示。
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シリウスさんからCH-53のローター折りたたみ仕様。CH-53の重たそうな雰囲気がすごく伝わってくる作品です。
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昨年は確かブリティッシュ・ファントムを展示されていたK2Cさんは今年もエレベーターアクションが可能なジオラマ作品。相変わらずの完成度です。こんなのを1年で作れるなんてスゴイ。
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クラブ名のメモをなくしちゃったんですが、徹底的に手の入った<はやぶさ>。はやぶさは子供さんにも大人気でした。
膨大な作品群から一部をチョイスしました。いやはや、毎年のことながら眩暈のするような作品の数々に圧倒されっぱなしでした。
最後に、今年を象徴する写真で締め。
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東日本大震災の被災地である福島県(しかも浜通り)のクラブさんも、多くの作品を出品、参加されていました。見ているだけで、こちらが元気にさせられるような展示でした。なんのかんの言いながら、プラモが作れる日常があることを噛み締めた次第です。
さて、さっそく次の製作に取り掛かりますかね。

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静岡ホビーショー2011に行ってきた<モデラーズクラブ合同作品展編その1>

静岡ホビーショー2011のレポート第2弾、こちらが自分たちにとっては本番といえる<モデラーズクラブ合同作品展>です。まずは自クラブの展示品から写真をチョイス。
今年もBlog!ModelersはYDCCさんと合同展示。
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メイン、というか中央に鎮座するのはハリケーン祭りとファントム祭りの機体たち。同じ迷彩パターンでも、モデラーそれぞれで解釈が違うのが面白いですね。若い見学者は「マッチボックスの完成品を今世紀入って初めて見た」みたいなつぶやきも。マイナーメーカー大好きモデラーが多い本クラブの面目躍如ですな。
ファントムの方は前夜祭にてファントムが足りないとのことで急きょ出展数を増やし、5機を並べさせていただきました。ちょっと嬉しかったのは内緒だ(笑)。
以下はクラブの方々の作品を順不同で。はりきって新品のコンデジを持ってたのですが、逆に使い慣れずブレブレの写真が多く、全員の写真が載せられないのはご容赦を。
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注目作品の1つ、ALBAさんのエアレーサー、1/32レッドバロン。仙台で被災されたのにも関わらず、このレジンの大物を完成させたのはさすが。すでに来年のノルマも決まっているようで(笑)。
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腹ペコ山男さんとyaszoさんがコラボレーションしたジオラマ。それぞれの得意分野を生かした合作、いいなあ。
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Limahlさんの<Baldwin Motion 70 Camaro No.4>。迫力のアメ車です。当日は横浜Fマリノスとサンフレッチェ広島のマッチデーで、広島の勝利だったわけですが、横浜FマリノスのサポーターでもあるLimahlさんに、宴会でいい気になってからむサンフサポのウイングバックなのであった。
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実は今回の一番人気、Cutnipperさんの「眠らざるEDN」。ヒストリカルフィギュアのモデラーであるCutnipperさんは、カナダへ留学してる学生さん。見事な塗りのウデです。
YDCCさんからはCamelotさんのハセガワ1/72のT-33。
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プラッツの新商品が出るというのに、いにしえのキットをキレイなスジ彫りに仕上げるその根性とウデに脱帽。
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vespaさんのバンダイ1/100のF-26は会場でも数少ない完成作。一目見るだけでシール貼る苦労がしれます。
その他、たくさんの作品が今年も集まりました。また1年分のエネルギーをもらった気がします。また来年もぜひよろしくお願いします。


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静岡ホビーショー2011に行ってきた<現用機クラスタ新商品レポート編>

今年も静岡ホビーショーにBlog!Modelersの一員として参加してきました。今年は50周年とのことですが、記念本<静岡模型全史>が発刊・先行発売されたくらいで、大きな記念行事はなし。ま、今年は開催されただけでもよかったやね。
では、好例のレポート、第1弾は現用機モデラーである自分が引っかかった新商品をご紹介。
まずは当然のごとくハセガワ。
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すでにアイマス機が先行発売されている1/72Su-33フランカーD。会場には素組みしてサーフェサーを吹いた完成品が置いてあったが、大きな修正もなくスッと組めそうな出来。個人的に問題は塗装かなあ。境目がハッキリした迷彩はイマイチな気がする。
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Twitter方面では発売の事前情報に接したおり、ただのデカール替えだと思われた7月発売の1/72F-15Iラームですが、なんとレジンパーツつきの”徹底再現”仕様。イスラのレジンとデカールを後生大事に保管してるオレは負け組。
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1/48ですが、EA-18Gグラウラー。妙にカッコイイんですな、コレが。早期に1/72もキット化してください、ハセガワ様。
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ハセガワのトライツールでは偏光フィニッシュシートのグリーンとブラウンが会場先行発売。クリアーのブルーとグリーンのシートが6月発売。クリアブルーのシートはファントムやトムのウインドシールドに使えそうね。
お次は童友社。
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80年代ロボオタには感涙の1/72コンバットアーマーの再販。セットで¥5000が高いか安いかは、ダグラムに対する愛によりますな。
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輸入元になっているHobbyBossでは、1/48ですがF3HデーモンとYak-38というマイナー機が発売。1、2年したら、1/72でも出してくれることでしょう。その他、中華製ではビーバーコーポレーションのブースでKINETECのS-2トラッカーとA-6イントルーダーが告知。これも1/72を期待しましょう。
お次はアオシマ。
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<はやぶさ>以来、充実していく宇宙シリーズは1/350でH-ⅡBロケットを7月に発売。簡略化したトラスでいいから、発射台もモデル化してくれないかなあ。

現用機クラスタである自分が気になったのはこんなところ。フジミ、コトブキヤなどいくつかのメーカーが出展を見合わせており、正直なところ”作る人”には物足りないメーカーブース展示でありました。フジミさん、ヘソ曲げてないで戻ってきてください。

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F-4B "MIG EATER" Completed

静岡ホビーショーに向けての祭りである”ファントム祭り”用のF-4B"MIG EATER"、完成しました。
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F-4ファントムⅡはベトナム戦争にて多数の機体が投入され、多くのミグキルスコアを残しています。特に北爆再開以後のオペレーション・ラインバッカーでは激しい戦闘が繰り返され、多くの部隊で"MIG EATER"を輩出しました。
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今回はその中からハセガワの限定版キットを使用してCVW-15所属のVF-51"ScreamingEagles"およびVF-111"Sundawnners"をチョイスして製作。本来は主翼折りたたみ・フラップダウン仕様での製作予定でしたが、通常のシンナーで希釈して成分分離したプライマーサーフェサーを思いっきり吹いてしまい、修正するにも時間がないので、急きょ在庫からB型キットを抜き出して製作。公約を守れなくてごめんなさい(汗)。

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基本はストレート組みですが、Hannantsに間違えて発注したフジミのファントム用のジェットノズルを無理に押し込んでます。
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塗装は前記のように1972年当時のCVW-15のペアをチョイス。並べてみて改めて思うのですが、まあ派手ですな(笑)。
塗装は上面ガルグレー/下面イグニシアホワイトのハイビジ。昨年からウェザリングにこだわってエアブラシ塗装してるのですが、今回もやや下塗りのブラックを残し気味にして単調にならないようにエアブラシを吹きました。ツヤあり塗装なのに、高温多湿の東南アジアで実戦任務に就いていて、退色やスス汚れしてるというのは考えてみると難しい表現が要求されるわけですが、ハデなデカール貼っちゃうと、そんなのは余計な考えは吹き飛ばされちゃいますね(笑)。
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そんなわけで、5月14日・15日の静岡ホビーショーの合同クラブ作品展にて拙作をはじめ多くのファントムはじめ、他にも力作が集まりますので、Blog!ModelersおよびYDCCの展示ブースにぜひお越しください!

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書評<乾燥標本収蔵1号室―大英自然史博物館 迷宮への招待>

博物館は、その展示物がすべてではない。その奥には膨大なコレクションが存在し、それを管理するキュレーターと、そのコレクションを利用して研究に勤しむ科学者がデスクに向かっている。なかでも、博物館の元祖といっていい大英博物館は19世紀から膨大な生物・鉱物のコレクションを収集し続けている。本書は三葉虫を専門とする古生物学者であり、30年間、大英博物館の職員であった著者が、奇矯な科学者たちの生態を明かしつつ、分類学と博物館の存在意義を語り、紹介するものである。

自然科学の本を読むとき、新たな知見を得るために苦痛をガマンしつつ本を読み進めることもあるのだが、本書は文句なしに面白い。ベッドを共にした女性を陰毛を貼りつけてリスト化した分類学者。自分の研究対象に似ていた昆虫学者たち。天下の大英博物館のキュレーターをひっかけた詐欺師。若手を奴隷のように扱う女性科学者。科学にまつわる奇妙な人々をユーモア溢れる語り口で紹介しながら、分類学や古生物学の歴史、スキャンダルやトピックを挟み込んでいくその文章構成は巧みで、どんどんと大英博物館の”迷宮”に入っていくことができる。
さらに言えば、大英博物館のその変遷を辿れば、英国そのもの歴史を学ぶことにもなる。植民地から収奪といっていいくらいの膨大な標本を集めていた時代は、同時に貴族たちが科学者たちのスポンサーだった時代でもある。典型的な官僚組織といっていい博物館も、やがて効率が求められ、科学者たちも成果が求められる現代になっていく過程は、英国の力の衰えとそれに対する改革の時代と重なる。博物館も、資本主義の変遷と無関係にはいられないのだ。
大英博物館の膨大なコレクションの人類の知見への貢献度は計り知れない。それがどんな人たちに支えられているのか、その一端を知ることができるのが本書である。

初版2011/04 NHK出版/ハードカバー

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