書評<涼宮ハルヒの驚愕>
シリーズ4年ぶりとなる作品の初回限定版。前作「涼宮ハルヒの分裂」で2つに分岐したストーリーがどのような結末を迎えるのか?以下ネタばれありで感想を。
前作から4年、こちらの熱が醒めてしまっているせいもありますが、とりあえずうまく収拾をつけた、という感じでしょうか。2つの並行世界がなんとなく繋がっている、という演出はパラレルワールドものとしてうまさを感じますし、結末は未来人がドラマチックに演じる。新キャラ登場や意外な人物の告白などで、これで完結か?それとも続編があるか?と迷わせる結末は、ある意味ライトノベルらしいといえるのではないでしょうか。
思えば、この作品は1作目で答えは出ているといるといえば出てるですよね。世界を改変しようとするあれやこれやに対し、ハルヒが「私はここにいる」と言えば、キョンもまた「オレもここにいる」と。その選択のピークは「涼宮ハルヒの消失」だと思うので(最近、劇場版を見たせいもありますが)、本作の結末は意外な部分もあるものの、まずは妥当なものに落ち着かざるをえない。そういう意味では、著者も書きづらかったのではないかと想像はできます。先に書きましたが、読者の熱があるうちに書くべき作品だったと、改めて思います。
初版2011/05 角川書店/スニーカー文庫
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