書評<まおゆう魔王勇者 4この手でできること>
魔王と勇者が手を取り合い、凝り固まったファンタジー世界の”丘の向こう”を見ようとするシリーズ第4弾。魔王と勇者、そして多くの共鳴者の存在にもかかわらず、魔界へ全力侵攻する聖鍵遠征軍と、魔族と人族の和解の兆しの象徴である開門都市を守ろうとする守備隊の大規模な戦闘が始まり、双方に大きな犠牲が生まれる。その裏で独自の信念で動くメイド姉と、為替市場で中央王国を恫喝する商人。それらが絡み合い、物語はクライマックスに向かう。
少し前に読んだ「ゲート」と同じで、意外な人物が物語の中央に躍り出ようとしているのが印象に残った。この物語も終盤に来て、意外な人物が物語のキーになろうとしているのが興味深い。魔王のいう「丘の向こう」が民主化あるいは共和制ならば、ジャンヌダルクが必要なのか?
そして魔王と勇者がタイトルなのに彼彼女らは自分の生まれた宿命に抗えないのか?丘の向こうを見ることをできるのはその師弟なのか、はたまた早過ぎた夢だったのか。ネットで最終章を読まずにガマンしているので、必ずいい物語にしてほしいものである。
初版2011/07 エンターブレイン/ソフトカバー
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