書評<緊急解説! 福島第一原発事故と放射線>
東日本大震災で未曾有の被害をもたらした津波は、福島県の沿岸に立ち並ぶ原発にも押し寄せ、なかでも福島第一原発は「全電源喪失」という事態に陥り、水素爆発という前代未聞の事態を引き起こした。多量の放射線により、その”現場”には誰も近づけない圧力容器、格納容器の中で何が起きたのか?放射性物質の拡散の真実はどこにあるのか?収束への手立ては本当にあるのか?本書は東日本大震災後のNHKに出ずっぱりだった解説員と記者がそれを解説する。
極端な悲観論からそれなりの楽観論まで、書店にはまったく違うことが書いてある書籍が多数並ぶ状態が続いている。比較的ニュートラルな解説はどこにあるかを探して、手に取ったのが本書である。まあ、NHKに対する信頼も人によって違うだろうが。本書はシロウトレベルで知りたいことには一応、手が届く内容となっており、東電や政府に何が足りなかったかもちゃんと記されている。
原子力・放射線関連はどこに、誰に基本線を置くかで、ものの見方がまったく変わってくる。今後も視点を1つに絞らずに、情報と対策を探っていきたいと個人的には思う。書評にもなってないが、本ブログでイデオロギー論争はしたくないゆえ、あしからず。
初版2011/06 NHK出版/NHK出版新書
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