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2011.08.24

書評<水が世界を支配する>

地球の生命にとって水は欠かせないものだが、文明を築いた人類にとっては「生きるため」以上のものになっている。文明は淡水が豊富に使用できる大河のそばで生まれ、以後も水を御したした者、民族、国家が世界史において主役に躍り出ることになる。本書はいわゆる四大文明が生まれた時代から、水を巡って紛争が起きるであろう未来まで、水をとおして人類の歴史を辿っていく。

前記したように水は生命と人類文明に欠かせざるものであり、水を介在させて世界史を辿れば、様々な出来事が明快に見えてくる。しごく当然のことなのであるが、本書がただ出来事を時系列になぞっただけのベタっとした通史にとどまらないのは、それぞれの時代の「イノベーション」がキーワードになっているからだろう。大河の氾濫をうまく利用した農業、ローマ帝国の画期的な水利用、中国の2大大河を繋いだ運河、ヨーロッパと新大陸を繋いだ航海技術、産業革命を後押しした蒸気機関・・・人類の歴史において、いかに水に関する発明が大きなものだったかが理解できる。ゆえに、増えすぎた人類を支える水イノベーションが起こらない限り、水に関する人類の未来が決して明るくないことも自明だ。エネルギー革命が求められる昨今であるが、水に関する技術もまた、革命が求められている。

初版2011/07 集英社/ハードカバー

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