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書評<アメリカ陰謀論の真相>

9.11同時多発テロから今年で10年が経つ。歴史を大きく変えた事件だが、アメリカではこのテロを政府の謀略だと信じる人が調査対象の2割から3割にものぼるという。このことからも、アメリカがコンスピラシー・セオリー(陰謀論)の本場であることがうかがえる。本書はアメリカで陰謀論が唱えられるようになった”真珠湾攻撃の謀略”から本丸である”J.F.ケネディ大統領暗殺”、日本ではあまり知られていない”ガイアナ人民寺院集団自殺事件とCIAの関係”まで、アメリカでまことしやかに囁かれる陰謀論をバッサバッサと斬っていき、陰謀論者を論破していく。

アメリカの陰謀論の歴史は長い。本書では陰謀論者が唱えるトリックを次々と論破していくが、その多くは当のアメリカでも何度も検証されている。だがなおも陰謀論は絶えることはない。著者はあとがきで陰謀論を唱えること自体を職業にしている作家たちと、アメリカ一般市民の”知的レベル”を問題としているが、当たらずとも遠からず、であろう。めんどくさい科学的検証を延々と読むよりは、なんでもCIAやロスチャイルド家のせいにしてしまう方が手っ取り早いのだ。だが、根本は現代社会への不安と、既存権力(マスコミを含む)への不信があるなかで、事件の衝撃の大きさを消化できないことにあると思う。”なんとなく不安”な日常に「あなただけに真実を伝える」と囁いてくるヒト、本、最近ではネット。そんな中に突然、自分ではどうしようもないが、自分の生活に多大な影響を及ぼす事件が起きる。コロッと”転向”してしまう人が一定数出てしまうのはしょうがないのかもしれない。
日本でも東日本大震災以降、特に福島第一原発関連で多くの陰謀論が語られるようになってきた。地方議会の議員さんがTwitterで「地震兵器」について語る、イタイ時代だ。マスコミはキレイごとしか報道せず、政府は右往左往するばかり、ネットでは”風説の流布”レベルの話が飛び交う。こういった状況では基準としての自分自身の知識を高めるしかない、と個人的には思うのだが。この本を含め、ネットにも書店にも”良識”はまだまだあるのだから。

初版2011/09 文芸社/ソフトカバー

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