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2011.09.22

書評<ヨーロッパ史における戦争>

クラウゼヴィッツ研究で知られる著者が、封建時代以後のヨーロッパ社会と戦争の関係をまとめたもの。王様と騎士たちが跋扈する中世から市民革命を経て現在に至るまで、社会の変遷が戦争をどのように変えてきたか?逆に、戦争は社会にどのような影響を与えてきたのか?騎士や傭兵たちの専門職であったはずの戦争が国力が総動員される戦争に変わる経過。技術が戦争を圧倒していく経過を詳細に辿っていく。

「十三世紀から現代までに匹敵するほどの長い間、ヨーロッパでは、『平和』とはごく稀な現象でしかなかった」。この言葉から始まる本書は、ヨーロッパ社会の変化と戦争の変化の関係を考察していく歴史的な名著である。現代の日本人は戦争というと「国家間の全面戦争」のイメージが一般的だが、それは歴史の一部に過ぎない。常備軍さえその存在は近代になってからであり、それまでの戦争は騎士・傭兵・商人たちが主役であった。自分は中世ヨーロッパの歴史的知識が乏しいので、諸王国の時代からから国家間の成立と社会が変化していき、戦争もそれにともなって変遷していくその経過を知ることは新鮮だった。逆にいうと技術が戦争の結果を圧倒する時代は馴染みのものであり、湾岸戦争までの現代戦は、第一次世界大戦の時代から本質的に変わっていないことがよく分かる。
湾岸戦争以後、あるいは9.11以後の対テロ戦争は後世、いかに社会と関連して語られるのか?その答えはすでに出ているような気もするが、正確な結論が出るのは少なくとも新たな時代の戦争が起きてからのことだろう。

初版2010/05(原著1976)  中央公論社/文庫

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