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2011.12.08

書評<デッド・ゼロ 一撃必殺>

アメリカ海兵隊が誇る狙撃手、レイ・クルーズはアフガニスタンで特殊な任務を命ぜられる。タリバンの協力者でありながら、その財力と人間的魅力でカブールの民衆を魅了するザルジなる男をしとめるのだ。しかし、その任務は妨害され、クルーズは死亡と判定された。その3ヵ月後、ザルジは改心したアフガニスタン大統領候補者としてアメリカを訪問する。同時に、死亡したと思われていたクルーズのメッセージがアメリカ当局に届く。「ザルジ射殺任務を継続中」と。一騎当千の狙撃手からザルジを護衛するコンサルタントとして、FBIは伝説の狙撃手、ボブ・スワガーを臨時雇用する。そしてスワガーは、そこに根深い陰謀を見出すこととなる。

スティーブン・ハンターの「スワガー・サーガ」の最新作。現実のアフガニスタン戦争が下敷きになっていることもあり、近年になくハードな物語である。イラクやアフガンでの戦いを通して、アンチ・マテリアル・ライフルのはずが人間を大射程で真っ二つに切り裂くライフルとなったバレット82での射撃、遠くアメリカの地から死の嵐を巻き起こす力を持つUAV、MQ-9リーパー。それらの激しい戦闘シーンの幕間にミステリーやトリックを挟み込み、またも読むのが止まらない良質なノベルに仕上がっている。
それはスワガー・サーガの新たな主役になるのではないかと思われるレイ・クルーの登場のおかげであろう。今回のボブは陰謀を捜査する面では主役を務めるが、アクション・シーンはもっぱらレイ・クルーズが担当しており、無理に60を超える老人にアクションをさせる必要がなくなったおかげで、派手な銃撃戦が復活しているのだ。
というわけで、次回作がまたも楽しみな一作に仕上がっている。

初版2011/12 扶桑社/扶桑社ミステリー文庫

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