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書評<サッカーと独裁者 ─ アフリカ13か国の「紛争地帯」を行く>

先進国や新興国の争奪による資源高騰を背景に、携帯電話の普及によりいわゆる”スモールビジネス”も発展、論者によれば”経済発展の最後のフロンティア”とも呼ばれるアフリカ。サッカーに関してもアフリカ出身の選手たちの西欧トップリーグへの進出もめざましい。しかしながら、そうした動きの中で蓄積される富はほんの少数の政府上層部をはじめとした”独裁者たち”に握られているのが現状で、フラットに見ればアフリカは相変わらずの”暗黒大陸”である。本書はそうしたアフリカの国々を巡りながら、アフリカとアフリカサッカーの現状をレポートしていく。

南米のサッカーと為政者たちの距離の近さはよく知られるところだが、アフリカも劣らず為政者たちは民衆の人気取りの一環としてサッカーを利用する。これが端的に現れるのが代表監督交代の頻繁さであろう。また各国のサッカー協会に集まる金も、アフリカにおいては重要な特権の一つであり、協会と選手の諍いの原因になっている。これらがアフリカサッカーの強化の妨げになり、世界的なスターを排出するも、それが国家代表がいつまでたっても一定以上のレベルには達しない要因になっている。本書はこうしたアフリカサッカーの現場をレポートしている。その中にはもはや国家の体をなしていないソマリアの代表召集の困難さをレポートしたものもあり、情熱は確かに存在することは分かる。経済発展も事実なのだろう。しかし、あいかわらずアフリカは混乱の中にあり、サッカーが独裁者に踊らされているのが現状である、と確認せざるをえない。そんなことを感じるノンフィクションである。

初版2011/12 白水社/ハードカバー

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