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書評<まおゆう魔王勇者 5あの丘の向こうに>

魔族と人間の共存の象徴になりえる存在であった開門都市であったが、歪んだ欲望に取り憑かれた宗教指導者や貴族に率いられた10万を超える清鍵遠征軍に包囲され、陥落寸前であった。南部連合が戦場の周囲で遠征軍を攪乱するが、戦場の趨勢を変えるには物足りない。このまま、魔王と勇者が望んだ「丘の向こう」は幻のまま、世界はまた混沌に向かうのか?魔王と勇者の物語に決着がつく。

率直に言って、まさに大団円といえる素晴らしい物語の結末であった。物語の最終巻である本書は、戦場の情景描写は包囲戦とそれを崩そうとする開門都市周辺での機動戦を中心として展開させ、それに勇者に生まれたゆえの孤独の物語を織り込みながら進んでいく。主人公である魔王と勇者の存在感を消すことなく、周辺の人物たちが確固たる決意の元に行動し、戦う姿の描写は見事であり、またRPGのベーシックな攻略を思わせる最終決戦へ向かう構成もぐいぐいと読者をひきつける。
登場人物の固有名詞を定めず、会話形式で進む文章の特異さが注目されがちだが、成長していく登場人物の描写こそが、まさに本書の真骨頂だろう。遠い昔、ドラクエ3をクリアしたときの胸のすく感じを思い出した一冊であった。

初版2012/02 エンターブレイン/ソフトカバー

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