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書評<ブラック・スワン降臨―9・11‐3・11インテリジェンス十年戦争>

<インテリジェンス>とは、単なる”情報”というにとどまらず、多数の情報の中から信頼性を確認され、選りすぐられ分析されて、決定権を持つ人物に提供されるものを指す。本書はアメリカ大統領の決断の元になるインテリジェンスを軸に、3.11同時多発テロ以前から繰り広げられていた情報戦の内幕を明らかにしていくノンフィクションである。さらにアメリカ大統領たちの決断と対比するように民主党政権以降の日本の首相たちがいかに愚かであったかを描き、日米関係の変化に警鐘を鳴らす。

<オペレーション・ネプチューン・スピア>、ビン・ラディン殺害作戦をレポートの”起”と”結”にして、ワシントンにいかなる情報が提供され、アメリカ大統領の決断が促されていたかを明らかにしていくノンフィクション。3.11当時、不眠不休でワシントンからの中継で情報を提供していた著者だけあって、3.11同時多発テロ直後のワシントンの情景は生々しいものの、その他は例えばNHKの”BS世界のドキュメンタリー”あたりをマメにチェックしていれば、どこかで目にした情報ばかりで目新しさはない。
本書の主題はむしろ、武力使用に良し悪しは別にして大統領の果敢な決断と、国家元首でありながら何も決断できない政権交代以降の首相連中の対比にあると思う。特に鳩山政権の愚かさはあらためてため息をつかざるをえない。いかなる幻想が彼の中にあったのかは知りたくもないが、お花畑的な思考のもと、どこの誰もを納得させることができなかった彼の行動が、いまだギクシャクしたままの日本外交と安全保障の元凶であることを思い知らされる。よくぞアメリカが<オペレーション・トモダチ>を実行してくれたものだと感じる。
長いドキュメンタリーや翻訳本を読む時間のない方には、対テロ戦争と日本の対米外交の10年の流れを簡素に復習できる1冊である。

初版2011/12 新潮社/ハードカバー

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