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2012.02.05

書評<ニッポン異国紀行―在日外国人のカネ・性愛・死>

昨今、地域にもよると思うが、在日外国人あるいはそのコミュニティの存在はずいぶんと身近に感じられるようになっている。しかしながら、当たり前のことながら日本人とは民族も宗教も違うため、死亡時や医療に対する慣習もまったく違う。我々が日常生活でのぞけない在日外国人たちの生活の現在を、著者が体験的に明らかにしていく。

自分は牡蠣が特産の瀬戸内の小さな島の出身だが、いまやそんなとこにも牡蠣の殻外しのために、外国人労働者が働いている。人口減少社会の中、移民が問題視されているが、現実はすでに動き出しているのだ。そんな時代だが、外国人コミュニティのディープなところまでは一般人は入り込めない。その最たるものが葬式と風俗なのだが、本書はその過去と現在を追っている。日本側の事情だけではなく、世界的な経済動向の変化の中で、常に在日外国人社会は揺れ動いているのだ。風俗の面だけとっても、フィリピンバーからタイ人クラブ、韓国デリヘルの隆盛といった具合だ。本書のオビには「驚愕の連続」とあるが、体験的になんとなくその流れが分かる人も多いのではないか(自分もその一人だが)。そんな日本の別の一面を垣間見ることができる本である。

初版2012/01 NHK出版/NHK出版新書

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