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2012.03.18

書評<機龍警察 自爆条項>

小規模紛争やテロの増加により戦争が変容した時代に生み落とされた兵器、機甲兵装。人体の動きをスレーブしながらパワーとスピードを増し、都市戦闘に有用な機甲兵装は軍にとどまらず、テロリストとそれを取り締まる警察組織が使用するまでになっていた。警視庁特捜部は普及機に対し5年のアドバンテージを持つ機甲兵装を装備し広域に操作が可能な組織として発足したが、”傭兵”を雇用するなど警察の他部局からは忌み嫌われていた。
そんな組織的ゆがみを抱えながらも、機甲兵装の密輸事案を捜査する警視庁特捜部は、北アイルランドのテロ組織によるイギリス高官暗殺計画を察知した。奇しくもその組織は、”傭兵”の一人であるライザ・ラードナー警部が過去に属していた組織であった。複雑な政治事情とラードナー警部の凄惨な過去が交差しながら、捜査と物語はクライマックスに向かう。

部局同士の対立やキャリアの処遇といった警察という特殊な組織が抱えるリアルと、いわゆるパワード・スーツが闊歩するフィクションを組み合わせた警察小説の第2弾。パワードスーツの動力源や警察に民間軍事組織の人間が雇用されている理由といった、ミリオタには重要な事項はほぼスルーされており、あくまでアクションと捜査が人間が主役である。
本作は機甲兵装の密輸事案と、テロリストであったライザの過去を交互に描きながら物語をすすめていく。現在の時間軸においてははぐれ者の組織ゆえの不満と高揚、そして激しい戦闘が描かれ、過去の時間軸においては欧米の小説に負けないくらいの北アイルランドの暗い日常と非日常が描かれる。それが終盤に向かって交差する展開、そして伏線を回収する物語の組み立ては見事としかいえない。続編も期待である。

初版2011/09 早川書房/ハードカバー

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