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2012.03.19

書評<サッカー選手の正しい売り方 移籍ビジネスで儲ける欧州のクラブ、儲けられない日本のクラブ>

欧州各国のリーグで日本人サッカー選手たちが活躍する昨今。日本人選手の評価が上がり、日本代表の強化に繋がる嬉しい事態なのだが、一方Jリーグ各クラブにとっては主力選手、スター選手が”抜かれる”ということである。そこで移籍金が取れれば今後の強化に繋がるわけだが、昨シーズンなどは0円移籍が横行した。こうした事態はなぜ起こり、それに対しJクラブはどう対処すべきなのか?本書は選手の代理人やクラブ社長のインタビューを中心にすえて解説していく。

当方、サンフレッチェ広島のサポーターであるが、生まれからして広島人で、ユース育ちの選手が移籍金0でドイツのチームに移籍したあげく、移籍先のチームで干され、別のJクラブにレンタルで日本に戻ってくるという経緯を見るにつけ、どうにも複雑な思いを抱かずにはいられない。サポーターからしてこうなのだから、育てた選手が抜かれていくユース関係者や、高校のときから目をかけてきた選手が抜かれるスカウト関係者の忸怩たる思いたるや、相当なものだろう。だがこれは、欧州移籍市場からローカルルールで守られてきたJクラブが規約改正により、世界標準と”戦わなければならない”時代になったことを意味する。”選手の夢をかなえる”とか甘えたことを言っている場合ではない。敵対しがちな代理人さえも利用していくタフさがクラブのフロントに必要になったのだ。幸いなことにボスマン判決からずいぶんと時間が経ち、欧州の中堅クラブの中には独自の”生きる道”を見つけたクラブもあるし、Jクラブにも移籍金をたっぷりと取った例も存在する。見本はしっかりとあるのだ。Jクラブフロントは、経営センスを磨き、なんとか戦い抜いてほしいものである。

初版2012/02 カンゼン/ソフトカバー

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