書評<驚きの英国史>
イギリスは近代史のイメージから、”7つの海を支配した”大国といったイメージが先行する。しかし長い歴史を通してみると、ノルマン人からナチス・ドイツまで、様々な民族からのグレート・ブリテン島への侵略に立ち向かう時代の方が長いことが分かる。そうした歴史が今のイギリス人気質を作り上げた。本書は、短いが印象的なエピソードを積み重ねることによって、イギリス人のメンタルを明かしていく。
本書は通史ではなく、歴史上の出来事が現在までつながる様々なエピソードを紹介するものだ。日本人もたいがい歴史好きだが、イギリス人もまた長い伝統を守っていくことが好きであり、しかも日本と違って庶民に身近なパブなんかでも歴史の破片が残されている。ときに興味深く、ときにバカバカしいエピソードが紹介されており、それぞれが絶妙に噛み合う事により、イギリス人の価値観がいかに形成されてきたか、その一端を知ることができる。手軽だが、興味深い一冊だ。
初版2012/06 NHK出版/NHK出版新書
« 書評<イスラム飲酒紀行> | Main | 書評<四十の魂―ユニコーンへの道> »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 書評<ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く>(2022.08.28)
- 書評<バルサ・コンプレックス “ドリームチーム”&”FCメッシ”までの栄光と凋落>(2022.05.25)
- 書評<冷蔵と人間の歴史>(2022.05.24)
- 書評<ザ・コーポレーション>(2022.05.23)
- 書評<狩りの思考法>(2022.04.19)
The comments to this entry are closed.
Comments