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書評<バナナの世界史>

世界でもっとも多く消費されている果物であるバナナ。先進国では甘く栄養価の高いフルーツとして、発展途上国では食糧として、多くの人々の暮らしを支えているバナナ。だが、栽培の中心となっている品種が現在、絶滅の危機にあることはあまり知られていない。また、バナナの栽培の歴史は中米・南米のプランテーションを中心とした過酷な労働の歴史であり、巨大企業のエゴが剥き出しとなった歴史でもある。本書は、そうしたバナナの持つ様々な側面にスポットを当てていく。

バナナを巡る歴史は過酷である。アメリカの巨大企業は、自分たちの都合のいいように南アメリカの政権を転覆させ、土地を奪い、労働を搾取してきた。それに政府や政府の諜報機関も協力する。いまだ治安の安定しない国も多い中米・南米の国々がそうなった根源に、バナナを巡る歴史が深く関わっているのだ。
また、バナナという植物自体も病気に弱く、不安定な作物だ。その歴史を本書で読むと、全世界に大量に供給できていること自体が奇跡にも思えてくる。長年に渡る品種改良、また最近では遺伝子改良の研究が続けられているものの、「緑の革命」のような奇跡はまだ起きていない。
日本では流行にのって消費量が増えているようだが、そのバナナが背負っている”重さ”がどれほど知られているか?そこらへんはもう少し周知が必要ではないかと思える。本書は内容の割に読みやすい文体であるし、もっと一般に読んでもらいたい本である。

初版2012/01 太田出版/ソフトカバー

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