書評<小説 魔法少女まどか☆マギカ>
TVアニメの脚本を手がけた虚淵玄が監修し、ライトノベル作家が書き下ろした『魔法少女まどか☆マギカ』公式ノベライズ。構成はアニメと同じ12部だが、ほぼ主人公まどかの一人視点描かれるので、ただアニメを文章化していない点では好感が持てるノベライズ。
個人的には正直言って、アニメ本編では主人公まどかはキープレイヤーではあるものの、キャラが弱かったように思える。作品の世界観でいうところに”因果”がやや薄かった気がするのだ。それに比べてこの小説版はまどかの心の動きを細かく描写し、他のキャラに頼らずとも、クライマックスに向けての物語の盛り上がりを作ることに成功している。この点は著者のウデによるものだろう。まどかとほむらの”強さ”と”弱さ”が逆転する場面が明確になっているのも、小説ならでは。アニメとは別の魅力を持つ点で、佳作といえる。
初版2012/05 芳文社/ソフトカバー
« 書評<英国軍艦勇者列伝> | Main | F-15A"IDF" Day1st »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 書評<ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く>(2022.08.28)
- 書評<バルサ・コンプレックス “ドリームチーム”&”FCメッシ”までの栄光と凋落>(2022.05.25)
- 書評<冷蔵と人間の歴史>(2022.05.24)
- 書評<ザ・コーポレーション>(2022.05.23)
- 書評<狩りの思考法>(2022.04.19)
The comments to this entry are closed.
Comments