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書評<レ・ブルー黒書――フランス代表はなぜ崩壊したか>

2010年の南アフリカワールドカップで、フランス代表は前代未聞の醜態を晒した。試合のハーフタイム中にスター選手が監督に暴言を吐いてチームを追放、それに呼応するようにして、他のメンバーが翌日の練習を拒否したのである。チームは当然のごとく内部崩壊し、フランス代表は予選リーグで敗退した。予選で敗退という試合結果よりも、このスキャンダルの方が世界で報じられ、サッカー大国の1つであったはずのフランスは、2012年現在もその痛手から立ち直ってないように見える。本書はこのスキャンダルを監督や選手たちだけでなく、フランスサッカー協会やクラブオーナーなど、当事者たちを多角的な面から分析していく。

選手をまとめる求心力がない監督と、スターゆえエゴに溢れた選手たちのぶつかり合い。2010年にフランス代表のスキャンダルを知ったときは、そんな印象を持った記憶がある。ところが、本書を読むともっと根は深いものであるようだ。もちろん、一義的には監督と選手に原因があるわけだが、そこに代表OBやフランスサッカー協会やクラブオーナーたちの事情が複雑に絡む。さらに騒ぎが大きくなる段階において、政治家や大統領まで登場してくる。サッカーはチームスポーツで、個人のエゴはある程度抑えなければならないはずが、それぞれが自分の利益ののために動く。その結果があのスキャンダルであった。
著者はフランスのサッカージャーナリストであり、しばしばフランス社会に関連した比喩を使いながら、事件に切り込んでいく。その批判の矛先は大臣にまで及ぶ。たんにサッカーのスキャンダルの話にとどまらない、フランスという国とかの国のスポーツジャーナリズムを垣間見ることができる一冊である。

初版2012/06 講談社/ハードカバー

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