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書評<探検家、36歳の憂鬱>

チベット・ツアンポーやヒマラヤの探検を描き、大宅賞を受賞した探検家、角幡 唯介氏の短編集。著者が体験した雪崩に関する生々しいエピソードや、探検家受難の時代に自らは「探検」や「冒険」に対してどのように向き合っているかを赤裸々に告白したエピソードなど、興味深いエッセイが収められている。

「雪男は向こうからやって来た」を読んで以来、魅力的な文章を書く方だと思っていたのだが、それはエッセイにしても変わらない。虚勢を張らず、自分の行動原理や感情を表現していくその姿勢に好感が持てる。探検とそれをテーマにしてノンフィクションを書くという、いわば表裏一体の行為が、現代においては成り立たないという著者の考え方が、著者の文章において「極地探検という一般人には無縁の行為」と、「一般人の日常」との距離を絶妙にし、成り立たないはずのノンフィクションをより面白いものにしているのだと思う。次の長編が楽しみだ。

初版2012/07 文藝春秋/ソフトカバー

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