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書評<ロッキード・マーティン 巨大軍需産業の内幕>

空ではF-22ラプターやF-35ライトニングⅡといっステルス戦闘機、宇宙ではロケットや衛星、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)、海ではイージス艦の使用するSM-2スタンダード・シリーズなど、アメリカの最新鋭兵器の開発・生産を一手に引き受ける巨大軍需産業、ロッキード・マーティン。その母体であるロッキードは、2次大戦前からアメリカ陸軍航空隊、戦後はアメリカ空軍へ航空機を提供し続ける長い歴史を持つが、その歴史は数々のスキャンダルと開発予算超過にまみれている。本書はロッキード・マーティンの歴史を辿り、その軍需産業の内幕を明かす。

「巨大軍需産業がアメリカ政府を操っている」的な陰謀論を扱う本かとも思ったが、「なぜ数多ある軍需産業の中でロッキード・マーティンが生き残ったか」ってテーマが相応しい、思ったよりフツーの内容であった。その答えは、、代々の社長が議会のロビイストの使い方がうまかった、というフツーの答えしかない。結局のところ、戦争は政治の延長であり、軍需産業は常に政治に左右される、バクチのような商売である。ロッキードもダグラスもマクダネルも政治に振り回されっぱなし。だからこそ、議会で暗躍する。合併を繰り返す。「戦闘機から個人情報保護まで扱う巨大企業」にロッキード・マーティンがなったのは、結局のところ、そうでもして多角化しないと、軍事関連の産業だけでは儲からないから。軍産複合体や産業を横断する企業が”政治”より先にあったわけでは決してない。著者が意図する結論とは逆の感想を、個人的に感じずにはいられない。

初版2012/09 草思社/ハードカバー

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