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2012.10.25

書評<99%対1% アメリカ格差ウォーズ>

現代のアメリカは資本と富の集中化が進み、99%の貧乏人と1%の金持ちが暮らす国に成りつつある。同時にイデオロギーにおいても保守的な人々はますます過激度を増し、リベラルを標榜する人々との対立は深まるばかりだ。本書はコラム形式で、大統領選挙に向けての選挙運動やそれを報じるマスコミを中心に紹介し、現代アメリカを切り取っていく。

アメリカ大統領選挙まであと2週間、NHK-BSあたりは大統領候補討論会を生中継するなど、日本でも報道で大きく取り上げ始められている。だが、日本のマスコミが報じるアメリカの政治状況はごく一部であり、その過激な中傷合戦やデマを撒き散らす扇動家の存在など、保守とリベラルの深刻な対立はなかなか知ることができない。本書ではアメリカ在住の著者が軽妙なコラムで、その実情を我々に教えてくれる。日本から見ているとオバマ大統領の就任で、ブッシュ大統領時代に深刻になったアメリカの”分断”が軽減されたようにみえるが、それはまったく誤解のようである。インターネットとケーブルテレビに代表される多チャンネルの時代になって、自分が好むニュースしか知らない人々が増え、偏向した報道がそれを助長する。結果として、自分が知らないことはすべて”虚報”と映り、陰謀論がはびこる。そこに行き過ぎた資本主義に生まれた格差や宗教対立が重なることにより、ますます思想が偏り、ますます人々の対立が深まる。
著者がリベラル寄りの考え方であることを差し引いても、自由主義・資本主義が行き着いた感もある現代アメリカを知ることができるコラム集である。

初版2012/09 講談社/ソフトカバー

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