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2012.11.13

書評<チンパンジーはなぜヒトにならなかったのか 99パーセント遺伝子が一致するのに似ても似つかぬ兄弟>

チンパンジーは我々ホモサピエンスと99.5%の遺伝子が一致し、人間に一番近い動物として、数々の観察、実験がなされてきた。だが、身体の構造、脳や知能、病気や行動に至るまで、調べれば調べるほど人間とは違う”類人猿”であることが分かってきている。本書はチンパンジーと人間の違いを詳しく知ることで、ホモサピエンスのほ乳類としての立ち位置を明かしていく。

一部の過剰な愛情を持つ学者やナチュラリストのおかげで、人類に近い動物として過剰に持ち上げられている感のあるチンパンジー。遺伝子の一致具合がその価値観を補強しているが、DNAマップとそれによって現れる表現形の関係はまだまだ不明な点も多く、遺伝子の一致だけでは何の意味もなさない。人類と類人猿の相似を書いた本は多いが、本書は逆に多くの学者への取材を積み重ねて、類人猿が決して人類の延長線上にある動物ではないことを提示している。
本書のスタンスは至って客観的だが、類人猿への過剰な愛情にだけは警告を発しているように感じる。動物実験に対する道義はもちろん守らなければならないが、保護一辺倒では科学的知見は進歩しない。チンパンジーの研究によって分かることは、まだまだたくさんあるのである。

初版2012/09 講談社/ハードカバー

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