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2012.12.22

書評<コブラ>

ホワイトハウスに賓客を招いた晩餐の席で、一人の老メイドが突然泣き崩れた。大統領は彼女の息子がコカインの過剰摂取で死亡したことを聞き、合衆国でのコカインの撲滅を決意する。その秘密作戦の指揮官に選ばれたのは、引退した老スパイだった。そして、老スパイはかつて自分の作戦を潰したエージェントに実行部隊のコーディネイトをまかせることにした。コロンビアの強大な麻薬カルテルを潰すべく、作戦が始まる。

エスピオナージの名手、フォーサイスの最新作はコロンビアの麻薬カルテル撲滅作戦。四半世紀ほど前にトム・クランシーの著作でテーマが同様のものがあったが、本作はその現代版といったところか。作戦の最後の段階で、権力中枢が見せつけられた暴力にビビッて、作戦をだいなしにしてしまうところも同じだ。ただしディテールの書き込みは薄く、フォーサイス作品としては物足りない。
ミリオタとして印象に残るのは、無人監視機の有用さだ。広大な海域を監視するグローバル・ホークの存在は大きく、アメリカ海軍が新型のP-8哨戒機と組み合わせてグローバル・ホークを運用するという計画も納得である。
スティーブン・ハンターの近作もそうだが、いよいよ欧米では無人機があらゆる作戦に欠かせない存在になったことを実感する作品だ。

初版2012/11 角川書店/ハードカバー

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