書評<UFOはもう来ない>
月の裏側に基地を設置し、60年以上に渡って地球人類を監視し続けている地球外知的生命体<スターファインダー>。密かに監視を続けてきた彼らだが、その監視にも区切りをつけようとしていた。だが決定権者が乗機するスキマーが墜落し、スターファインダーの一体が地球に取り残されてしまう。その第一発見者は好奇心旺盛な小学生たちだった。スターファインダーを巡って、マスコミ関係者、新興宗教団体などを巻き込んだ争奪戦が展開される。
山本弘の新作小説はオーソドックスな?UFOを取り扱った作品。説明的で説教くさいセリフの今回の対象は、デタラメな番組を製作するテレビスタッフと、デタラメな教義をふりまく新興宗教団体。そこに”騙す騙される”のスパイスが加えて、地球外生命体の価値観と対比させることにより、人類の愚かしさと暴力的傾向をあぶり出す。そこからは言ってみればオーソドックスな展開。著者ならではの「Childhood End」へのオマージュなのでしょう。総じて、いつもの著者らしい作品です。
初版2012/12 PHP研究所/ハードカバー
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