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書評<ヒトラーの秘密図書館>

アドルフ・ヒトラーは読書家であった。本宅や別荘を中心に何万冊もの蔵書を誇ったが、敗戦の際に略奪され、わずか数千冊が現存するのみである。本書はその残された書籍を丹念に読み解き、また存命している数少ない関係者にインタビューを試み、ヒトラーの蔵書からヒトラーその人と思考を読み解く。

本棚に並ぶ本には、その持ち主の価値観や趣味がそのまま現れるとはよく言われること。さらに、読書の際に書き込んだメモや共感した部分を記すためのラインを丹念に拾っていけば、よりその人に迫ることができる。さらに、著名人なら著者本人からのサイン入り献本やそこに書かれたメッセージから、交友関係さえ知ることができるだろう。著者はそれを丹念に実行し、ヒトラーその人を描き出すことに見事に成功している。たんに蔵書を列挙していくだけでなく、ヒトラーが政治家として台頭していく時期、反ユダヤ思想を固めていく時期、オカルト趣味に傾倒していく時期、そして戦争中に将軍たちに戦略・戦術を口出ししていく時期と、ヒトラーが読んだ本とヒトラーの歩んだ道を見事にリンクさせていて、ヒトラーが”怪物”になっていく歴史をたどることができるのだ。
つくづく、他人の本棚を見るのは面白いと、再確認できるノンフィクションである。

初版2012/12 文藝春秋/文春文庫

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