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2013.04.02

書評<消滅した国々―第二次世界大戦以降崩壊した183ヵ国>

第2次世界大戦で疲弊した西欧諸国が植民地を手放すことは歴史の必然だったといえる。だがその過程で、多くの混乱とともに、独立国が乱立することまで、”元”列強各国は予測していたのだろうか?本書は2次大戦で独立しながらも様々な事情で消滅した国々をリスト化し、2次大戦後の歴史の一端を明らかにする。

「世界飛び地大全」で地図を見ることの面白さを教えてくれた著者の新作。戦後史に興味があるものなら、誰もが知る新興国から、3日と持たなかった国までそのリストは長い。読み通して浮かび上がってくるのは西欧諸国の狡猾さと見通しの甘さだ。イギリスのまるで戦後のアジアとアフリカの混乱をすべて作り出したかのような、民族対立を煽る統治手法。フランスやオランダの、いつまでも大国であったことを忘れられないかのような、相手を舐めくさったあげく、現実を見ない振る舞い。部外者から見れば、責任取れよ、と言いたくなる歴史の連続だ。
だが、本書のオチはあとがきにある。「消えた市」である埼玉県大宮市出身の著者は、理不尽な市町村合併と、その後のさいたま市の傍若無人な振る舞いを明らかにする。そしてそれを正すべく、市会議員になっていたのだ。そして「消えた大宮市」を復活させるべく奮闘している。今度はその物語を読みたいものだ。

初版2012/11 社会評論社/ソフトカバー

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Comments

ウイングバックさんに教えてもらって、自分もこの本を読みました。
全く聞いたことのないような国の独立や滅亡のエピソードまで山盛りで、
よくぞここまで調べ上げたものだと感心します。
しかし、全編通じて感じることは、西欧の旧宗主国が如何に我が儘で狡猾で、
自国の利益しか考えていない行動をとってきたかということですね。
それに比べると、日本はまだまだ外交が幼稚というか正直すぎるのかなあ…、
とも感じました。

>Hoodさん
この方の本、いってみればリストそのものなんですが、歴史の面白さを感じさせますね。
まあしかし、なんと英国の暗黒面のひどさよ、ですね。

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