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2013.04.07

書評<森林飽和―国土の変貌を考える>

環境保護が叫ばれる昨今だが、日本の場合はむしろ、現代は国土がもっとも森林に覆われている時代である。その形態は里山と呼ばれる住環境と接する身近な自然から、海岸で厳しい潮風から街を守る防風林まで様々だ。本書は近代以降の日本の森林の様相の変化を検証し、今後取るべき施策を検討する。

第2次大戦後の日本は工業の発展とともに、国土の自然環境を破壊してきたイメージがある。だが現実には、こと森林に関しては、明治時代以前がもっともその面積を減らしていた。それは森林がエネルギーそのものだったからで、過度な伐採が深刻な国土の破壊をもたらしていたのである。そのため、人々は植林と治水に取り組み、防風林を形成した。そうした努力とエネルギー源の化石燃料への移行により、日本の国土は豊かな森林に覆われることとなった。本書はそうした”イメージとしての現代の環境破壊”の間違いを正しているのだ。森林になかなか触れることのない現代人には非常に新鮮な見地であり、日本の森林への見方を一変させる。だが、森林の増加は良いことばかりではなく、昨今は新たな自然災害の形態や杉による花粉症など弊害も多くある。著者は国土の変貌を正しく把握し、そのうえで新たな政策を提言している。
東日本大震災直後、電力不足から「江戸時代に戻ればいい」と極端な意見を繰り出す輩がいたが、江戸時代にいかに日本人が環境破壊していたか、本書で学んでほしいものである。

初版2012/07 NHK出版/ソフトカバー

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