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<ファントム祭り”アメリカ空軍編”>はじめました!

なんだかハンパに忙しくて、Blogうpもままならない今日このごろですが、ウイングバックが取りまとめ役となるお祭り、<ファントム祭り”アメリカ空軍編”>を開催いたします。

バナーです。
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URLです。趣旨、ルールなどBlogの記事をご覧ください。
http://bookguidebywingback.air-nifty.com/phantomusaf/

ルールも期間もゆるゆる運用でいきます。ぜひとも御気軽にご参加くださいませ!!

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書評<ヨハネスブルグの天使たち>

DX9という日本製の歌う機械人形が各国に普及している近未来。ヨハネスブルグ、ニューヨーク、そして日本と、戦乱と格差で行き詰まり、狂気に至りつつある世界をDX9を通して描き切る、SF短編連作。

テロが頻発し、持つ者と持たざる者が極端に現れつつある現代社会の延長線上に待つものは何か?それを問うているのが本書である。短編の一つ一つは切り離された物語だが、やがてそれが一つに集約していく手法は見事であり、文体自体は簡素ながら民族や宗教、言語とは何かを倒錯した描写で描き、読者自身の価値観を揺るがす。特に「ジャララバードの兵士たち」と「ハドラマウトの道化たち」は、宗教あるいは殉教の意味を厳しく問うている。どのような宗教、民族、イデオロギーといった価値観は対立するものと表裏一体であることを、強く意識させられる。
本書の本文とは関係ないが指摘を一つ。オビに「伊藤計劃が幻視したヴィジョンをJ.G.バラードの手法で描く」とあるが、すでに逝去した彼とは、「この現代の行き着く先」のヴィジョンは似ているが、物語の指し示す方向がまったく異なると感じる。早川書房の編集さんは要検討だと思う。

初版2013/05 早川書房/ハヤカワJコレクション(ソフトカバー)

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書評<世界を変えた火薬の歴史>

世界の戦争の様相を変え、破壊をもたらした火薬は、紀元800年前に中国で発明されたものであった。それが練丹術師たちが代々の皇帝の要求に応えて調合した”不老不死のクスリ”であったことは、歴史の大きな皮肉である。戦乱の続く中国で火薬とそれを使用した兵器が発達する一方で、イスラム世界やヨーロッパにそれが伝わったのは数百年も後のことであった。本書はこうした火薬の歴史を辿り、いかに大きな影響を与えたかを分析する歴史書である。

「火薬・活版印刷・羅針盤」が古代中国の三大発明であることは教科書に掲載されているが、実はそれが詳細に知られるようになったのは研究の進んだ最近のことである。本書はそうした研究成果を多く引用し、練丹術師の探求により始まった火薬の意外な開発史を知ることができる。それはまず、初期の手探りの化学であった。ほぼ偶然により発火する物質を混合することができたが、それを今でいう”火薬”として
安定供給するには、多くの試行錯誤と犠牲が必要であることが本書で示される。昨今のニュースで「爆薬は肥料から作られた」と簡単に伝えるが、火薬にするには多くの手間のノウハウが必要だ。そして初期の火薬を急速に進化させたのは中国が戦乱の地だったことが大きく関係している。兵器が発達するのは、いつだって戦争の圧力なのだ。その火薬がやがてヨーロッパに伝わり、産業革命を経て、火薬の開発史が西洋に移っていく歴史は、世界の中心がどこかを辿る旅でもある。
ジャレド・ダイアモンドは「銃・病原菌・鉄」が歴史を変えた要因と看破したが、銃を火薬に置き換えた方がより適切ではないかと感じさせる良質な歴史書だ。

初版2014/04 原書房/ハードカバー

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