書評<メディアの仕組み>
テレビで御馴染みの時事問題解説者、池田彰氏と主にネットを主戦場とするジャーナリスト、津田大介氏が対談形式でテレビ、新聞、インターネット各メディアの現在とその問題点を解説する。各メディアの相互の関わり、日本特有の事情にも触れられ、ときに”マスゴミ”と罵られるマスコミとどうつき合っていいかを検討する。
ニコニコ動画の対談などを書籍化したものなので、注釈など含めて平易にマスコミと情報の問題点が把握できる本書。自分としては、”メディアの仕組み”というよりは”主要メディアの限界”を指摘している書だと捉えた。”Facebook革命”などといわれた”アラブの春”は、きっかけはSNSだったにしろ、デモの大量動員を可能にしたのは独自の立場を維持するアルジャジーラのTV放送があったからであり、ネットの役目は実は小さかったこと。そのTVは予算の問題から専門家を抱えることができず、深く考えずに第一印象をセンセーショナルに報道してしまうこと。オールドメディアである新聞は、宅配という日本独自のシステムのおかげで、ネットやTVのバックアップの役目も果たせていないこと。結局のところ、「事件の第一報に脊髄反射してTweetしない」「複数情報源に当たる」「この世の基本は物理と化学」といった自分なりの基準を設置して、情報にあたるしかあるまい。
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