書評<クモはなぜ糸をつくるのか? >
クモはどこにでもいて、餌の捕獲手段であるその網を見たことのない人はいないだろう。物珍しくないそのクモは、4億年の時間を生き抜いてきた”ツワモノ”で、クモがつむぎだすその網は、数種類のたんぱく質を組み合わせ、絶妙な強度と粘りを持つ驚異の素材でできている。そして、その網をつぶさに観察すると、クモがどのように進化をしてきたかが分かる。本書はクモとクモの網がどのように進化してきたかを紹介し、そのクモの進化がダーウィニズムの証明のかっこうの材料になることを解説している。
クモは見た目は不気味なものの、ほぼ益虫(というか益節足動物)なので見守っておく、くらいが自分のクモに対する認識だったのだが、本書はクモがいかに興味深い生物であるかを教えてくれる。様々な種類のクモが張る、様々な網の意味。そして、その網は数種類のたんぱく質を組み合わせた、いまだ人工のものが追いつけない強度と靭性を兼ね備えたものであり、その網の種類を研究することで、それがダーウィニズムとどのような関係を持つかを明らかにする。新鮮な知識を提供し、なおかち「さすがクモ、数度の大絶滅を生き残ってきただけのことはある」と感じさせてくれて一冊だ。
初版2013/06 丸善出版/ソフトカバー
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