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書評<チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1>

1986年に発生した原子力発電所の爆発事故から、27年を経たチェルノブイリ原発。事故を起こした施設を覆う新たな石棺の建設も進み、除染もある程度進んだ現在、事故現場を”観光地化”しようとする動きが出てきており、現に複数のツアー企画が運営されている。
東日本大震災に起因する福島原発事故以後、比較されることが増えたチェルノブイリの現在を若手の思想家たちが実際に訪問し、ツアーに参加して現地の人々にインタビューすることにより、原子力事故のその後と、福島の取りうるべき将来の可能性を問う。


災害現場の跡地、戦争の爪痕がうかがえる戦跡、今は使われていない巨大廃墟など、いわば人類の負の遺産を見学する観光を”ダーク・ツーリズム”というそうだ。本書は福島第一原発をいわば”観光地化”するプロジェクトの前段階として、先行する事例たるチェルノブイリの現状をレポートしている。そのプロジェクトの是非はともかくとして、豊富な写真で実際のチェルノブイリの模様がレポートされ、またウクライナの現状と未来を現地の識者にインタビューしていく本書が貴重で、読み応えのある記事の連続であることは確かだ。
個人的には本書の編集に関わっている思想家やジャーナリストを巡る動きに必ずしも賛成ではない。というか、正直キライな人間も本書の編集に関わっている。だが、本書は観光ガイドであり、チェルノブイリの現状に関わるレポートなので、ほどほどにフラットな見地の文章がほとんどである。彼らへのそういった先入観があって本書の購入を躊躇している方にも、興味深く読めると思う。
ちなみに、自分は原発再稼動賛成派だが、本書を読んでもその意見は変わらない。

初版2013/07 ゲンロン/ソフトカバー

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