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書評<わたしたちの体は寄生虫を欲している>

わたしたち人間はとかく他の生物と自分たちを分け隔てて考える傾向があるが、進化の過程のある段階までは、他の生物と同じように多くの”共存関係”にあった。だが、医学の進歩とともにその共存関係は断ち切られ、例えば先進国の人間の腸からは寄生虫は消えている。だが、それは本当にプラスだけをもたらしているのか?人類が知恵のおかげで受けてきた清潔な環境と医学の恩恵の弊害が理解されつつある今、人間は他の生物との共存関係を見直すべきではないのか?それを問いかけているのが本書である。

タイトルどおり、本書はしばらく、人間と寄生虫の関係に言及しながら進化と人間と他の生物との関係を探っていく。我々が忌み嫌う寄生虫は栄養不良をもたらし、感染症をもたらすため、我々はそれを医学により排除していた。だが、”知恵”によるそうした環境変化に人間の体の変化はまったく追いついておらず、寄生虫にさらされる方がかえって健康を取り戻すケースが出てきているのだ。それは何も腸内に限ったことではない。本書の後半ではその範囲を拡げていき、最終的には人間を飛び越えて”都市”の変化を促すことにまで言及している。寄生虫と人間との関係は発端にしか過ぎず、著者は人間と自然の関係を巡る逸話の範囲をどんどん拡げていくのだ。
かといって、本書は過激な自然礼賛本ではない。人間が清潔さを追求し、飛躍的に罹病率を劇的に下げたことは確かなのだ。だが、それを超えて、人間と自然の関係にもっと妥協点があるのではないのか?それを探り、現時点での妥協点を提案しているのが本書であり、過度に理想的でない点に非常に好感が持てる。

初版2013/07 飛鳥新社/ソフトカバー

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映画「パシフィック・リム」を見てきた

昨日、上映開始時間を12時間間違えるという恥ずかしいミスをしてしまったが、あらためて「パシフィック・リム」を見てきた。3Dの日本語吹き替え版。午前中開始・お盆最終日ということもあってお客の出足は厳しい。ストーリーはこんな感じ。

海底空間に開いた異次元との回廊から現れるKAIJU(怪獣)に対し、人類はイェーガーと呼ばれる巨大ロボットを開発して対抗していた。だが現れるKAIJUは徐々にイェーガーに対抗する方法を学び、イェーガーは苦戦を強いられるようになったため、人類は巨大な壁を都市に築く方法を選ぶ。だが、その壁すら突破されるようになったため、人類は最後の希望を再びイェーガーに託す。

KAIJUを敵役に持ってきていることからも分かるとおり、日本の特撮・アニメ・SFに大きく影響を受けた作品。監督もかなりのオタクらしい。ストーリー短くまとめて書いていても、13話くらいでアニメにしたら良かったのに、と思うくらいに日本的作品(笑)。Twitterあたりで大絶賛なので見に行ったので、かなり身構えていたのだが、素直に感情移入できる、素晴らしいCGIと燃える展開だった。バカ映画といえばバカ映画なのだが、それがイイ。自分は特撮の知識がないのであまり指摘できないが、オマージュ的なシーンもかなりあったのだろう。ロボアニメへのオマージュはもちろん分かりました(笑)。
それと自分が特に感じたのは、「アポロ13」にもかなり影響されているのでは、ということ。パイロットたちが現場で戦うシーンと同時にバックアップの管制センターも緊迫感を増す舞台として重要な役割を担っていて、そのさらにバックには科学者たちが悪戦苦闘している構成で、ドラマを厚くしている。特にラストシーンあたりのドラマワークはその印象が強い。そういった正統派ハリウッド映画と、日本の生み出した特撮・オタクガジェットをうまく結びついた作品だった。

Twitterで真偽不明ながら「この映画は日本人声優の吹き替えをかぶせて完成される」というコメントを残したアメリカ人オタクがいたというので吹き替えにしたのだが、確かにそうだった。やはり林原めぐみはイイ(笑)。

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書評<孤独なバッタが群れるとき―サバクトビバッタの相変異と大発生>

大自然紹介系のテレビ番組で、砂漠のわずかな植物を大集団で襲い、深刻な飢饉をもたらすサバクトビバッタ。見たくないようで見たい絵図の一つだが、大発生するあのバッタは特別な種ではなく、ごく普通に生息するバッタがなぜか体長を増し、体色を変化させてあの大災害を引き起こす。その変化はなぜ起こるのか?本書は、大学の研究室でバッタを生育し、ひたすら比較実験を積み重ねて、バッタの不思議な生態を解き明かそうとする研究のレポートである。

本書はあっと驚く新説を披露し、読者をワクワクさせる類の本ではない。バッタに心を奪われた研究者の物語であり、地味な比較実験の記録である。本書は<フィールドの生物学>シリーズではあるが、フィールドに出るのは最終章のごく一部。あとは研究室でバッタをひたすら観察する。エサ、視界、生育密度などなど、生育条件を変えながら、データを集めていく。自分たちが”常識”としている昆虫の生態は、こうした根気のいる実験の繰り返しによって知ることができたんだと、改めて確認させられる。
バッタ研究者である著者の姿勢にも学ぶところが多数ある。業界で”常識”とされてきた論文を疑い、まずは自分で実験してみる。科学の基本だが、それゆえ、著者は様々な新たな発見を得ることができたのだろう。
たんなるバッタの研究書ではなく、様々な知見が得られる本だ。

初版2012/11 東海大学出版会/ソフトカバー

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書評<ドイツ連邦戦車開発小史>

戦車王国ドイツを引き継いだ新生・ドイツ連邦は、ソ連地上軍の急速な驚異の増大に対抗するために新戦車の開発計画を立ち上げ、レオパルトⅠを開発、さらに現在も一線にあるレオパルトⅡといった傑作MBTを生み出してきた。本書はそのMBT2種と、開発途中や計画だけで中止された車両も含めて、ドイツ連邦が生み出した戦車を、ケモ耳娘たちが紹介するいわゆる”萌えミリ本”である。

本書は同人誌をまとめたものであるが、ドイツ連邦が開発した歴代戦車の特徴と、その開発思想を的確に解説しており、ケモ耳娘はイラストに添えられているだけの至極まっとうなミリタリー読本となっている。それなりに知識もあったレオパルトⅠおよびⅡの解説よりも、むしろアメリカとの共同開発が空中分解したMBT、KPz70や双砲塔ケースメイト戦車の試験車両であるDRKとその眷属たちの話の方が興味深い。MBTの形態は戦闘機や主力艦船と違い、2次大戦後期時の主力兵器で完成された感があるが、ドイツ連邦は様々な可能性を探っていたのだ。読み物としても面白いが、海外文献の写真1枚から起こしたイラストなど、資料としても価値が高い。
地方在住民としては、こういった同人誌をまとめて商業出版にのせる路線を、イカロス出版さんには確立させて欲しいものだ。

初版/2013/07 イカロス出版/大判ソフトカバー

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書評<食卓のメンデル: 遺伝子組み換え食品の正しい見方>

GMOと略される遺伝子組み換え食品は、日本や欧州では一部科学者から一般的な消費者まで幅広く拒否感を抱いており、大豆やコーンの生育で使用が先行するアメリカとは一線を引いている。だが、植物の品種改良は人類が農業を始めたそのごく初期から行われており、現在、我々の口に入る植物にいわゆる”原生種”はまったくない。挿し木や放射線照射による品種改良と、GMOはどこが違うのか?本書はそれを解説し、GMOとそれを開発する科学者と企業の動きと合わせ、それが未来の人類のためにいかに必要かを訴える。

「植物に動物の遺伝子を組み込む」といった、一見不自然な技術を使うことから、一般的な市民には拒否感を抱かれるGMOだが、遺伝子と植物の品種改良の歴史を知れば知るほど、その拒否感はなくなる。特に近年の”緑の革命”と呼ばれる化学肥料と品種改良による穀物の生産量の飛躍的な拡大がなければ、現在の人類の人口を支えることはできなかったはずなのだ。
GMOへの拒否感は、モンサントなど一部グローバル企業が種子とそれに対応する農薬の販売を独占していることもあるようだ。モンサントには陰謀論めいた批判もあるし、いくらかの”闇”があるのも確かだろう。しかし、製薬企業と同じく、植物の品種改良は膨大な試験の繰り返しで、資本力がある巨大企業でないと無理な時代になりつつあることも事実であることも認めなければならない。
ともかく、GMOをイメージやイデオロギーで語ることなく、その特徴を正確に理解するために、本書は最適な一冊だ。

初版2013/04 日本評論社/ソフトカバー

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書評<英国一家、日本を食べる>

イギリス人のトラベルジャーナリストが妻と小さな子供を引き連れて日本に長期滞在。北は札幌から南は沖縄まで、上はメンバー制の料亭から下は大阪の串かつまで、日本の様々な食文化に触れ、レポートしていく。

皮肉屋の英国人が日本食をどう感じるか?それが知りたくて本書を手に取ったのだが、期待以上の面白さだった。ジャーナリストだけあって、日本食の海外文献で予習し、来日して日本の料理界のVIPたちとも会う事により、様々な日本料理とその歴史を高い俯瞰の視点で見てレポートする。そのレポートは我々日本人にとっても自分たちの料理を再勉強できるものだ。
もちろん、料理の体験も面白い。欧米人にとってはタブーともいえるクジラにも挑戦していたり、様々な人の縁を辿って名店を訪問したりと、一種の冒険物語に近い。さらに、妻と子供の反応が良いアクセントになっており、読む側を飽きさせない一冊だ。

初版2013/04 亜紀書房/ソフトカバー 

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MV-22B Day2nd

そういえば、この週末はHME(北海道モデラーズエキシビジョン)が開催中だったんですね。お盆手前は仕事的にどなたもシンドイのではないか?もう1週か2週、開催日をずらしてくれたらなあ・・・。
そんなことを思いながら、オスプレイをいじる。

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今日は主にプロップローター部分の組み立て。プロップローターは可動するため、中にポリキャップを仕込みます。本当はローターの折りたたみを再現したいところですが、今回はストレート組み。分割が分かるようで分からないので、クローズアップ写真集待ちですね。
大きなローターは2分割で接着。回転方向があるので、オレを含めて自身のない方はL/Rをマジックか何かで記入しとくべきでしょう。エンジンポッドは排気口、エアインティークともあっさりした表現ながら中がみえるので塗装して組み立て。

ところで、KWAT氏のコメントどおり、クリアパーツを胴体に合わせたのですが、やはり大きな隙間が。これは初期ロットの個体差の問題だそうなので、さっそく、明日にでもハセガワのサービスセンターに問い合わせてみることにしましょう。
さて、来週は塗装まで進めますかね。

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MV-22B Day1st

とにもかくにも暑い夏です。コミケあたりでは地獄絵図が繰り広げられているようですが、九州は福岡も室内でダラダラしているだけで汗だく。おまけに自分は仕事の野外イベントでぐっちょりシャツを濡らしたまま、クーラーがんがんの営業車で2時間ドライブという不用意な行動のせいで夏風邪。すっきりしない体調ですが、期待の新商品が発売されたので、ここはカラダにムチ打って製作に入りましょう。

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ボーイングMV-22Bオスプレイは回転翼機と固定翼機の特徴を併せ持つチルトローター機。新機軸を持つ航空機だけに開発が難航、大きな事故を複数回起こしましたが、なんとか配備まで進み、イラクやアフガニスタンでの実戦もくぐり抜けています。日本では開発時の事故がやたら大きく取り上げられ、メディアには大型怪獣並みの扱いを受けていますが、すでに安定した運用時期に入っています。

キット的には開発期間が長かったため、すでにイタレリから1/72、1/48とも発売されていますが、いずれもFSD機のキット化で、ハセガワの新商品は満を持しての量産型の発売となります。それでは製作へ。

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コクピット付近をプーっとC317吹いた後、大きなパーツを貼り合わせて3時間ほどでヒコーキの形になります。胴体パーツを入念な仮組みをうえで接着すれば、あとはほぼパチピタです。
後部ドア開閉含めて内部再現はなく、コクピット付近もごくシンプルな表現。パイロットフィギュアと飛行状態前提のギアドアパーツ、そして飾り台付属なので、メーカーさんとしては飛行状態でのディスプレイがデフォルトなのでしょう。
ヒコーキのプラモデルは塗っちゃ組み立て、塗っちゃ組み立ての連続なのでクーラーかけての製作には向きませんが、ちょっとずつでも進めましょう。

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