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書評<クレイジー・ライク・アメリカ: 心の病はいかに輸出されたか>

アメリカを中心とした欧米では、精神疾患も身体疾患と同じように分類され、カウンセリングや投薬によって”治療”される。身体的な西洋医学と同じように、これらの精神疾患診断法も”精神医学が後進的な”アジア・アフリカに”輸出”されている。しかし、人間の精神は国家・民族・地域などの文化に支えられており、単純に欧米の診断法を持ち込むことにより、地域固有の”癒し”を消し去り、精神疾患を増加させているのではないか?著者は4つのケースを提示し、それを問うている。

アメリカという国が厄介なのは、善意と営利と2つの顔を持って他国へ乗り込んでしまうことにあると思う。本書のケースの1つ、スリランカ大津波後の支援の一環としてのカウンセラー大量上陸は、彼らの功名を狙った面があるにしろ、善意からくるものだった。しかしその行動は意思疎通の不備、思考法の違いなどから、迷惑以外の何物でもなかった。もう1つのケースは近年の日本のうつ病の大量発生である。日本に”うつ病的なもの”はもちろんあったが、それを向精神薬で治療できるものとする診断法を持ち込み、結果として暴利をむさぼった製薬会社のケースは、巧妙な”市場開拓”の方法であった。果たして、うつ病との診断と向精神薬の服用が日本人を幸せにしたのかは、誰にも分からない。
おそらくアメリカ人の思考回路には大なり小なり「自分たちの民主主義・科学主義・キリスト教的価値観が世界のスタンダード」という面があるのだろう。なので、「自由」を掲げ、他国へずかずかと入り込んでくる。それが物質的なものならまだいい。だが精神的なものは、それぞれの文化に依ったものがあり、類型化に当てはまらないものが多々あることを認めなければ、結果的にアメリカの負の側面も輸出してしまうことになってしまう。世界を一様に「アメリカのように狂った社会」にしてもいいのか?著者はそれを問うていると感じる。

初版2013/07 紀伊國屋書店/ソフトカバー

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