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書評<介入するアメリカ: 理念国家の世界観>

アメリカ合衆国は、例えば日本のようにその国土に根付いた国民国家ではなく、理念で形成された国だ。国家として「あるべき姿」を自らを設定し、その理念の下に国民が結集している。また、世界においては軍事的、経済的に強大な持つために、その「あるべき姿」を世界に拡大していこうと、国家間あるいは国家内の紛争に介入してきた。本書は冷戦以後、アメリカが外交や紛争処理においてどのような論理のもとで行動してきたかを振り返り、アメリカの外交理念の変化を探っていく。

前記したようにアメリカは「理念国家」であり、基本的には「自由と民主主義」を世界にもたらすために振舞う。だがアメリカには伝統的に孤立主義の側面があり、また外交方針も「共和党と民主党」「リベラルと保守」といった対立軸があり、さらにその中にも様々なイデオロギーが存在する。本書は日本の一般的なニュースでは触れられないが、アメリカの国家理念を論じるうえで欠かせない「リベラル・ホーク」などのイデオロギーにも触れ、世界とアメリカの経済・軍事の変遷に合わせて、アメリカが世界をどのように捉え、”介入”していったかを明かしていく。
本書を読むと、つくづくもアメリカが「イデオロギー国家」であると感じさせる。冷戦以後、アメリカが様々な形態の紛争に介入する理由として、”人道上”といった建前とは別に、”経済的利益”のためという”陰謀論”が横行するが、その論理が”陰謀論”から抜け出せないのは、やはりアメリカの行動原理がイデオロギーに支えられているからだ。それがリベラル的な「理念の輸出」か、保守的な「覇権主義の輸出」かは政権によって異なるが、それぞれの”正義”に支えられていることは間違いないのだ。
また、アメリカから見た中共の歴史の変遷も興味深い。軍はともかく、アメリカ社会では中共は経済的脅威であっても、軍事的脅威ではいまだない。人民解放軍が太平洋に乗り出すとき、それはまた変わるだろう。
本書が発売された後、アメリカはシリア内戦への介入を議会に阻まれる。本書で解説されている”コソボ以後”から、また新たなステージにアメリカ外交が突入していると思われる。今後も、アメリカの国家観の変遷は細かく見ていかねばならない。

初版2013/09  勁草書房/ハードカバー

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