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書評<太平洋戦争のロジスティクス>

太平洋戦争で語られる悲劇の一つは”飢え”であり、それは戦場戦線への補給の失敗である。連合軍に対して正面兵器を揃えたものの、補給を軽視し、物資不足を精神論でカバーするという、近代戦におおよそそぐわぬ戦略を用いて多数の犠牲を出した日本陸海軍への非難は、多くの本で語られてきた。
本書はそれに疑義を唱える。軍隊の組織構成としては、諸外国に劣らぬ兵站部隊を揃えようとしていたし、少なくとも真珠湾攻撃以前の日中戦争では補給は滞ることはなかった。ではいったい、なぜ前述したような事態に陥ったのか?著者は組織、装備など多面的に分析していく。

本書は太平洋戦争の日本陸海軍のロジスティクスを、主に組織面と装備面から分析している。太平洋戦争を扱った戦記などの記憶を辿ると、とにかく理不尽がまかりとおっていたことだけが印象として残っている日本陸海軍の補給戦だが、本書を読むと印象は少し変わる。師団には立派な輸送部隊を”書類上”は揃えていたし、トラックや輸送船の標準化も開戦前から推進していた。それではなぜ、陸海軍の補給戦は失敗したのか?端的にいえば、国力を超えた師団を抱え、持てる力以上の国家連合を相手にした戦争の舵取りそのものの失敗であり、見通しの甘さが原因である。突き詰めていえば、当時の日本人は上は政府から、下は歩兵小隊まで、組織をマネジメントする資質に欠けていたといわざるをえないのだ。それが2014年現在、少しは改善されたのか?個人的には、たいして変わってないとの感想だ。権限と責任が曖昧な組織は、自分の勤務する会社も含めて、多数散見される。本書はミリオタだけでなく、経営者含めた広い層に読んでほしい。

初版2013/11 学研パブリッシング/ソフトカバー

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