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2014.02.16

映画「RUSH」を見てきた

映画「RUSH」を見てきた。郊外シネコンのレイトショー、お客は少なめ。

ときは1970年代。舞台はあたりまえのように、毎年ドライバーの死亡事故が起きていた時代のF1。そのチャンピオンシップを争う、2人のライバルがいた。本能のままに走り、私生活も自由に享楽的に生きる、人々が想像するスーパースターの姿そのもののジェームス・ハント。緻密なセットアップで、速さを論理的に追求するニキ・ラウダ。対照的な2人が1976年のランキングを争っていたが、雨のニュルブルクリンクでラウダがクラッシュ、重度の火傷を中心とした重傷を追う。その年のチャンプはハントに決まりかと思われたが、ラウダが奇跡の復活を果たす。舞台は豪雨の最終戦、富士。果たして決着はいかに?

長いF1の歴史の中でも、屈指のライバルとして語り継がれてきた2人のチャンピオン争いを、エンターテイメントの名手であるロン・ハワード監督が映画化。まだマシンとして荒削りな1970年代のF1マシンを迫力ある姿で描きながら、なおかつ2人の対照的な人物を描き切り、熱過ぎる映画となって完成している。
映像的には生々しいエンジンの鼓動と、血の赤に染まっているように見えるラウダのフェラーリの迫力が凄まじい。CGを使えばなんでも出来る時代にあって、あえてアングルを絞ることにより、当時のレースを見ている気分にさせる。当時のサーキットの看板、オフィシャルカーなど背景にも抜かりはない。レースシーンはドライバーの主観でも描かれるが、ラウダの復帰レースで、それまでボケていたラウダの視界が、ドンと焦点が合うシーンは燃えるやら、感動するやらで大変だ。
人物描写も見事。享楽的なスーパースターだが、ゆえに苦悩も抱えるハント。緻密な頭脳を駆使して走るラウダは現在のF1パイロットたちに通じるが、その秘める熱い思いはハントにひけをとらない。対照的な2人が最後まで分かりあうことはないが、「宿敵の存在を神の仕業だと思え」というラウダの言葉に象徴されるとおり、お互いがいなければ、2人のチャンプは生まれなかったかもしれない。
ロン・ハワードの作る”安心のエンターテイメント”でありながら、今どきのハリウッド映画にありがちな作り物くささが抜けた、とにかく熱い映画に仕上がってる。必見の作品です。

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