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2014.03.21

書評<福野 礼一郎のクルマ論評2014>

主として「モーターファン・イラストレイテッド」での車評の連載をまとめたもの。”いかなる技術をもってしても超えられない物理則”をクルマの評価の基準点におく氏の定評のある評論が展開される。主にBMW、メルセデス、ジャガー・ランドローバーなどの輸入車が取り扱われる。

掲載されている「モーターファン・イラストレイテッド」をときどき購入しているが、あからさまに車種選択に”えこひいき”が見られるのがまず残念。日本車はマツダとホンダだけだし、ドイツ系の先進技術満載の車種が評論の中心になっており、かつそれらの評価が高いのは、同誌編集長の意向もあると思われる。本来ならメルセデスのCLAなんかは、著者の過去の論評を知るものにとっては、もっと厳しい評価があってしかるべきだと感じるし、後書きで著者も言い訳めいたことも記しており、「切れ味が鈍った」と評価する読者がいてもしょうがないと思われる。
ただ、やはり氏の論評のレベルが高いのも確か。例えば車体溶接に関する論評。他の雑誌では「ドイツメーカーが線溶接を導入する中で、いつまで経っても日本メーカーはスポット溶接の施設を維持しており、時代遅れ」などと書かれているが、著者は線溶接にも塗装のレベルが低くなるといった問題があり、一長一短であることを指摘する。日本メーカーだって、ダテに世界中でバカスカ車を売ってるわけではないのだ。
願わくば、著者のもっと厳しい批評を読みたいものである。

2013/03 三栄書房/ソフトカバー

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