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書評<モウリーニョ vs レアル・マドリー「三年戦争」>

数々のチャンピオンシップを手にし、世界ナンバーワンとなった監督、ジョゼ・モウリーニョ。ポルトガル、イタリア、イングランドを渡り歩いた彼が次の冒険の地に選んだのは、スペインのビッグクラブ、レアル・マドリーであった。数々のタイトルを手にしたモウリーニョはもはやただのサッカーのコーチにとどまらず、クラブ内部のすべてを掌握しようとした。それ対し、”マドリズモ”と呼ばれる独特のクラブ文化を体現する選手が抵抗をみせ、クラブは内乱状態となる。本書は、強烈な個性がぶつかり合ったビッグ・クラブの3年間を描き切ったノンフィクションである。

本書はノンフィクションではあるが、あくまで選手、クラブのスタッフ、その他関係者の証言で組み立てたものであり、モウリーニョから見たクラブ側への反論はまったくない。その意味で公平なレポートではないが、世界ナンバーワンとされた監督の手法を垣間見ることができるのは確かである。
モウリーニョは常に”敵”を設定する。スペインでのそれは、ときには審判であり、試合日程をコントロールするサッカー協会であり、世界一魅力的なサッカーをプレイしているとされるバルセロナである。対立軸を設定し、選手たちのモチベーションをあげていく。モチベーターとしてのモウリーニョの真骨頂である。これまでうまくいっていたその手法が、レアル・マドリーでは行き詰まりをみせてしまう。
誤算があったとすれば、それはクラブのすべてをコントロールしたいモウリーニョのエゴが、これまで指揮していたクラブの在籍していたときよりも大き過ぎたことだろうか。自らの代理人である人物が推薦する選手を優遇し、選手たちの発言をコントロールし、クラブのスタッフの人事権にすら口を出す。それら大き過ぎるエゴは、確固たる歴史と信念を持つクラブと相容れなかったし、スター選手たちとも衝突することとなる。どんなに名監督でも、世界一のビッグクラブのすべてを支配できないのだ。
モウリーニョを賞賛する類書が日本でもたくさん出版されているなかで、本書はスター監督の挫折といっていい、別の一面を見ることができる本である。願わくば、モウリーニョからの反論も読んでみたいものだ。


2014/02 ソル・メディア/ハードカバー

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