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書評<ニセドイツ1・ニセドイツ2>

かつて、東ドイツという国があった。アメリカとソ連が対峙する冷戦構造下、敗戦国ドイツは分割されたのである。資本主義陣営に属する西ドイツが戦後、急速な復興を見せたのに対抗し、東ドイツも共産主義の元、それに対抗してきた。だが、イデオロギーに統制された体制の中で生まれてきたモノは、西側で生み出されたモノに比べると、どうしようもなく低品質で、モノとしての進化を止めた、悲しいまでの”ニセモノ”であった。
本シリーズは東ドイツで生み出されたモノについて、(1)が主に工業製品を、(2)が主に生活雑貨を紹介し、ベルリンの壁の向こうの生活がどのようなものであったかを紹介する。

本書はあくまで共産主義の下に生み出された製品を笑い飛ばすサブカルチャー本だが、同時に貴重な資料本でもある。激しい競争の中、人々の欲望におもねるべく開発された製品に溢れた社会で暮らす我々には、粗末としかいえない製品が、ほんの25年前まで”共産主義きっての先進国”で生産され、使用されてきた。”公平で幸せな社会”で生み出された製品が、競争社会である資本主義で生み出された製品と競争しなければならない矛盾。その矛盾が、どうしようもなく胡散臭い”パチモン”を生み出したのである。共産主義という壮大な実験が生み出したものとは何か、具体的に知ることができる貴重な本だ。

初版2007/2009 社会評論社/小型単行本

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