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書評<エア・パワーの時代>

ライト兄弟の最初の動力飛行の以前から、気球などの航空機が戦争に使用されてきた。第一次世界大戦以後、急速なテクノロジーの発展から、もはや航空機による制空権の確保、地上部隊の援護などの各種任務の達成なしには、戦争の勝利はありえなくなり、”エアパワー万能論”もハバをきかせるようになった。しかしながら、第二次大戦を頂点として、空軍の航空機は削減され、特に不正規戦、非正規戦がメインとなる現代では、エアパワーはその力を使いきれていないのが現状だ。本書はエアパワーの武力としての位置づけを歴史を追いながら探り、その力の本質は何かを結論づけていく。

ほとんどの国において、空軍はテクノロジーに溢れ、パイロットはヒーロー代わりのエリートで、ある種の華やかさがある。そのおかげか、たいていの空軍は予算面でも優遇され、エア・パワーはその力を最大限発揮する大規模戦争がなくても、その勢力が維持されてきた。本書の基本スタンスは、その”当たり前の軍事理論”に疑問を呈すものである。航空機がどんなに高性能になっても、結局は敵勢力を圧倒するには歩兵が必要であり、大型爆撃機が持つ戦略的役割も、1950年代以後は核にとって代わられている。まして、現代の最大の脅威であるテロリストに対するには、現代の空軍はあまりにアンマッチなのだ。本書のタイトルは「エア・パワーの時代」というよりも、「エア・パワーの時代の終焉」とすべきかも知れない。
もちろん、日本周辺をはじめとする太平洋はいまだ軍拡競争の真っ最中で状況は欧米と異なるし、あらゆる武力行為に対処するのには、何よりも制空権の確保が第一優先である。だが、未来の戦場にどんな航空機が必要であるか、思考すべき時代であるのは確かであろう。本書はそれを投げかけているのである。

初版2014/02 芙蓉書房出版/ソフトカバー

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