書評<「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!>
高度な医療がどれだけ発達しても、擬似科学の広がりはとどまることを知らない。東日本大震災と福島第一原発の事故以降、科学に対する全般的な信頼度が下がり、”スピリチュアル”や”ロハス”に代表される、代替医療の注目度が上がっている。本書は臨床医である著者が、「日本人は薬漬け」といった一般的なイメージを崩すことからはじまり、、疑わしい代替医療の検証していくことにより、世にはびこるニセ医学を平易に説明、否定する。
大型書店のベストセラーコーナーには健康本が並び、誰もが健康を意識する時代だが、その中に「〇〇を食べたらガンが消えた」といったような本が混じっている時代でもある。プラシーボ効果で多少なりとも症状が改善するならいいのではないか、という甘い考えもあるようだが、基本的にそれらニセ医療は現代医療の否定であり、早期治療のチャンスを逸する重大な事態を招く危険性が高い。ガン患者やその家族がわらをもすがる思いで本を取るのだろうが、基本的に本書に紹介されるようなニセ医療は高額な医療費搾取や詐欺的な商品販売を目的としており、百害あって一理なしである。
我々自身は、我々の体をもっと知ることから始めた方がいいだろう。例えば肌を潤すとされるコラーゲンは、経口摂取しても消化過程で分解され、ただのアミノ酸に戻るだけである。そうした基本的なことを覚えておけば、”健康サギ”に引っかかることもずいぶん少なくなるはずだ。
初版2014/06 メタモル出版/ソフトカバー
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