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T-2 BlueImpule Copleted

プラッツ三菱T-2ブルーインパルス、完成しました。
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三菱T-2は1971年に初飛行した、国産高等練習機。スリムな機体に小面積の主翼を組み合わせたデザインは超音速飛行を最大の目的にしたもので、高機動やステルスを目的とした第4世代以降の戦闘機には無い、スムーズなデザインです。
一方、空自のアクロバット・チームであるブルーインパルスはハチロクの後継として、1982年にT-2を採用。機動性をやや犠牲にした機体でのアクロバットはシャープですが多少の無理もあり、大きな墜落事故を起こしてもらったこともまた事実です。
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プラッツの1/72T-2のキットは先行発売したF-1に続くもの。そのパーツは近年の東欧製キットに似ており、精密なれど国産メジャーのようにカッチリはいきませんが、仮組みを新調にしとけば問題なし。むしろ、キャノピーがフレームとクリアーパーツに分かれており、1/72としては凝り過ぎな感じもします。
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塗装はグレーのサーフェサー吹いてキズを修正した後、クレオスC322フタロシアニンブルーをベタ塗り。エアインティークとスタビライザーのホワイト以外のマークは付属のカルトデカールを使用。デカール軟化剤で無理矢理フィットさせています。個人的には許せる範囲の透け感かと。クリアーコートでテカテカにしてやれば、違和感は少なくなります。
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三菱T-2/F-1はアメリカ軍機からそれば一世代遅れた機体であり、そのパワーのなさなど、不満も多く残る機体だったようですが、日本の航空機業界を語る上では非常に重要な機体です。また、そのスリークな機体は、今となっては新鮮。それをディテール細やかなキットで製作できるのは、現用機モデラーにとってありがたいもの。プラッツさんには、今後も国産メジャーのスキマを埋めるキットを発売してほしいもの。例え、発売が1年以上遅れても待ちますので(笑)。
さて、次いってみましょう。
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書評<江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統>

教育現場や行政にニセ科学やオカルトの類が紛れ込むのも珍しくない昨今だが、その1つが「江戸しぐさ」である。「江戸の商人たちが人間関係をスムーズにするための心得、マナー」だそうなのだが、実際にはそんなものはまったく存在しない。「江戸しぐさ」はどのように”創作”され、どのように公の教育現場に広まったのか?本書は「江戸しぐさ」を”創作”した人物の実態にまでせまり、それを明らかにしていく。

Twitterなどネットで強烈に批判されるオカルトの1つの「江戸しぐさ」。そもそも「江戸しぐさ」そのものがなんなのかから知りたかったので、本書は最適であった。江戸しぐさなるものがいかに現代的なマナーを積み重ねた創作であるかを明かしていくだけでなく、江戸しぐさに関わる怪しげな人物たちの実像にまでせまっていく。
さらに本書は教育現場で江戸しぐさを道徳やマナーと学ばせるとして学ばせる危うさまで踏み込んでいく。江戸しぐさとは結局のところ”偽史”であり、歴史と現実の塗り替えがいかに世論を歪ませるかは、その歴史そのものが証明している。できるだけ、多くの人に読んでほしい本だ。

初版2014/08 講談社/正海社新書

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Su-35S Completed

本当は北海道モデラーズエキシビジョン2014にSu-33とともに持ち込もうと目論んでいた、ハセガワ1/72スホーイSu-35Sフランカー、完成しました。
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Su-35Sフランカーはこれまでの多くのSu-27フランカー・シリーズとは異なり、新世代の戦闘機として、外形はともかくFCSなどそのシステムを一新したロシアの新鋭戦闘機。エアブレーキの廃止や偏向ノズルの採用など、機動力をさらに高めるとともに、FCSを含めコクピットを一新し、新世代の戦闘機としての性能を獲得しています。
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ハセガワの1/72のキットは本年度発売の新金型キット。繊細なモールドと作りやすさは先行するSu-33ゆずりで、組み立て段階で手こずるところはありません。偏向ノズルを選択式にしたり、飛行状態での展示を可能にするスタンドを同封していたり、ハセガワの新スタンダードに沿ったキット内容です。
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塗装は上下面で塗り分ける新塗装をチョイス、”赤の04”を再現しています。下面はモデルカステンの特色セットのブルー、上面はクレオスの「リッジバックス特色セット」のフラットサーフェスブルーをビン生で吹いています。説明書の塗装指示はC71ミッドナイトブルーですが、どうも違うので、イメージに合わせた色を探したところ、この色がピンときたのでそのままチョイス。実機はもう少し紫がかっているのですが、自分のイメージとはピタリだったんで良しとします。ただしこのフラットサーフェスブルー、他のブルーと同じく隠ぺい力が低く、下地の影響をモロに受けるのでご注意を。一応、下地のスジ彫りにシャドーを吹いて、仕上げはタミヤのスミ入れ材でフィルタリングしていますが、新鋭機なのでほぼべた塗り仕上げです。
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武装は翼下にKh-31SSMをメインとして、自衛用にR-73IR-AAMとR-27Rを組み合わせて搭載しています。正直、ロシア空軍のコンフィギュレーションはよく分からないので適当です(笑)。
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Twitterでフォローさせていただいている識者の方によると、新造機にこの塗装を進めていた国防大臣が罷免され、もとのロシアっぽいブルー系迷彩が復活しているとか。これはこれで、貴重な塗装例になるかも知れません。
ハセガワ様にはこの調子で、ロシア機のラインナップも充実させて欲しいものです。


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書評<戦術リストランテIII 「ポスト・バルセロナ」の新たな潮流>

サッカー雑誌<フットボリスタ>連載の戦術論をまとめた第3集。バルセロナのパスサッカー万能論への対抗策が打ち出される中、世界のビッグクラブのサッカーの戦術はどのように変化してきて、これからどうなるのか?カウンターアタックや3バックの復権など、いくつかの話題にわけ、それを探っていく。

ここ4~5年、世界のサッカーの話題はバルセロナを中心にしていたといっていいと思う。しかしながら、スペインリーグのアトレティコ・マドリードの優勝や、ワールドカップでのスペインの早期敗退を受け、世界のサッカー戦術のトレンドは変わりつつある。4バック全盛の守備、ポゼッションへのこだわりが影を潜めつつあり、最新のサッカー戦術はさらに洗練され、進化しつつある。そうした動きは先のブラジル・ワールドカップにも顕著に表れていたが、それを本書は分かりやすく解説してくれる。完璧なサッカー戦術などないし、どんな優秀な監督でも、クラブ上層部や高年棒選手のエゴを消すことなどできない。そうした面も含めて、サッカー戦術の面白さを伝えてくれる一冊である。

初版/2014/09 ソルメディア/ソフトカバー

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書評<人体の物語: 解剖学から見たヒトの不思議>

我々は自分の体について、意外と正確な知識がない。ルネッサンス以後のヨーロッパで解剖学が発達する以降はもっと人体に対する知識は少なく、一部の”自称”医学者が、経験的に人体の各部位の役割について知っているだけだった。本書は解剖学の歴史をまず紹介し、解剖学の進展がどのように人体の各部位の特徴、役割を明らかにしてきたかを辿る。

上記したように、我々は専門家である科学者や医者も含め、人体について限定的な知識しかもたない。本書の冒頭で「なぜ人は加齢すると夜にトイレに行きたくなるのか」を筆者が研究者や医者に問いかけるが、意外とまともな答えが返ってこない。それだけの問題でさえ、多くの臓器が関わり、複合的な問題なのだ。それを明らかにするには、人体を解剖し、それぞれの領域がどのような機能を持ち、どのような関わりを持つのか調べるしかない。本書はそうした”人体の神秘”に囚われた科学者たちを紹介しながら、人体の各部位が歴史的にどのように捉えられてきたのか、解剖によりどのようなことが明らかになっていったのかを紹介する。本書は”人体の解説書”ではない。人体を科学的かつ文学的に解読していく、「物語」なのである。

初版2014/08 早川書房/ハードカバー

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書評<本当はひどかった昔の日本: 古典文学で知るしたたかな日本人>

家族や地域のコミュニティのつながりが希薄となり、孤独死や児童虐待といったニュースが日々繰り返される日本社会。そうしたなかで、ノスタルジックに過去への回帰を訴える人が多い。しかしながら、子が親の”持ち物”だったり、女性に対する価値観が違う江戸時代以前は現代よりもっとひどい”虐待”が横行していた。本書は古い文献から、江戸時代以前の庶民の生活の実態を明らかにし、現代社会との違いを浮き彫りにしていく。


「昔はよかった」的な戯言が絶えることはないが、特に東日本大震災以降、こういう言質が多くなった気がする。震災により家族や地域のコミュニティが改めて見直されるとともに、原発が停止し、エネルギー問題が取り沙汰されるなか「かつての物質的には貧しいが精神的には豊かな時代に」みたいなスローガンが一部の人々の心の琴線に触れたのだろう。
しかしながら、ノスタルジックに振り返る過去の実態はそんなに甘いものではないことを本書は明らかにする。ニュースワイドショーが赤裸々に伝える話題よりもっと深刻な事例の数々。西欧的な人権感覚に染まった我々には特に違和感のある事件も数多く、テレビで放映される時代劇で描かれる物語は、一から十までフィクションなのである。東京の便利な生活に染まりながらも、過去に幻想を抱く、一部の方々に読んで欲しい本だ。

初版2014/01 新潮社/kindle版

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書評<極大と極小への冒険>

我々人間の感覚は、地球で暮らすぶんには非常に優れているものの、宇宙規模で起こることを観測するには、あまりにその知覚する範囲はせまい。本書は「数」「大きさ」「光」「音」「熱」「時間」について、その極大と極小がどこにあるのか、探っていく。

本書を読んで感心したのは、その比喩のうまさである。例えば大きさの章から引用。「地球の重力と小さな磁石で力比べをしたら、磁石はクリップを簡単に持ち上げて、勝ってしまう」。物理でいう”力”の関係は、どんな本を読んでもなかなか分かりにくいが、この比喩で初めて腑に落ちた気がする。極大と極小を説明するために、記載される数字は極端なものが多いが、直観的に理解できる解説と比喩のおかけで、この世界の”広大さ”を理解できた気にさせる、そんな1冊だ。

初版2014/06 紀伊国屋書店/ソフトカバー

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書評<あなたのなかの宇宙:生物の体に記された宇宙全史>

かのカール・せーガンが「私たちの体は星のかけらでできている」とロマンチックに表現したように、幾千万の星のひとつに棲むちっぽけな人間も、ビッグバンで生成された各種原子の名残りだ。本書は我々の宇宙137億年の歴史が、我々地球上の生物とどのように関係しているのか、生物学と地学、天文学をオーバーラップさせ、考察していく。

現代の学問に対する批判の一つに「専門化」がある。「生物学」と一口にいっても、研究の分野は広大で、科学者どおしで話が通じないことも珍しくそうである。本書の狙いのひとつは、あまりに専門化された学問をつないでいき、宇宙と地球と生物の歴史をつむぐものである。宇宙・銀河系・地球が生成される過程で起こった現象が、地球の生物に歴史としてどのように刻まれているのか?必然と偶然の積み重ねを本書に見ることができる。
さらに各章はその歴史を追うに当たり、様々な発見のパイオニアとなる科学者たちをまず紹介することから始めるので、本書はちょっとした科学研究史としても読むことができる。教科書的な一冊ともいえるだろう。

初版2014/07 早川書房/ハードカバー

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